【追悼】チャーリー・ワッツ 1991年のインタビュー「ドラマーとしてある特定の仕事をこなす。それを自分のベストで行うんだ」

訃報のニュースが入ってからすでに数日たっているが、未だに実感がわかず、正直言って何を書いていいか分からない。 今の私が特に思い出すのは、ジャズを演奏しているときのチャーリーがストーンズのときとはまた別の意味で生き生きとしていたということだっ…

【祝 80歳】ボブ・ディランが弾いたアコースティック・ギターの数々を追いかける

ボブ・ディラン、御年80歳。おめでとうございます。 本当であれば2020年4月にライヴを観ることができるはずだったが、1年以上たった今でもそれが実現する見込みがない。 最近のライヴでのボブ・ディランについては、ギターどころかピアノで数曲演奏するだけ…

ポール・マッカートニー本人による『McCartney III』全収録曲についてのコメント

ポール・マッカートニーの『McCartney III』がリリースされてから数日後の12月23日、NMEのウェブサイトにアルバム全収録曲についてポール本人が語ったコメントが掲載された。 各曲について、その制作経緯や背景を率直に語ってくれている。 www.nme.com 以下…

ジェフ・ベックが語る 肩の手術、タッピング奏法、そしてクラプトンとの関係(2018年のインタビュー)

(http://www.jeffbeck.com/music-aficionado-makes-jeff-beck-solo-unforgettable/) 以下は2018年7月に「Rock Cellar Magazine」に掲載されたジェフ・ベックのインタビュー(Jeff Beck: On Building His First Guitar and Why He’s Not a Fan of Tapping)…

エディ・ヴァン・ヘイレンの訃報を受けて(個人的なノート)

エドワード・ヴァン・ヘイレンが亡くなった。享年65歳。 私にとっては2001年のジョージ・ハリスンの訃報以来の衝撃だった。 ファンになってから久しいアーティストについては、いつまでも一緒にいてくれる、いつになってもニューアルバムをリリースし、ツア…

半世紀を迎えた「ワイト島フェスティバル 1970」を追いかける

アメリカでは、モントレーポップフェスティバルやウッドストックフェスティバルが今日まで続く野外フェスのスタンダードを作ったといわれている。 一方イギリスでは、1970年のワイト島フェスティバルがそれにあたるかもしれない。 このフェスは8月26日から30…

"史上最高のギタリスト" ブライアン・メイが語る史上最高のギタリストたち(2020年のインタビュー)

2020年6月初旬、ブライアン・メイが自身のインスタグラムにこんな投稿をした。 この投稿をInstagramで見る Ooouuuw !!! Not advertising of course ... ! But ... buy this fabulous magazine to find out who was voted Number 1 guitarist in the world !!…

レッド・ツェッペリンがビートルズを "蹴落とした" ときに行われた悪意あるTVインタビュー

1970年、イギリスの音楽雑誌「Melody Maker」の人気グループ投票で、レッド・ツェッペリンが1位に選ばれた。 www.ledzeppelin.com それまでは8年連続でザ・ビートルズが1位に君臨していた。 これはビートルズの時代がいったん区切りをつけたこととともに、新…

ザ・フー『Live at Leeds』50周年 当時の観客とカメラマンが語る思い出

1970年2月14日、ザ・フーは満員の会場でライヴを行い、その模様がレコーディングされた。 会場はリーズ大学の学生食堂だった。 この音源は3か月後の5月23日にアルバム『Live at Leeds』としてリリースされ、以来「史上最高のライヴアルバム」として50年たっ…

息子ジュリアンが語る 父ジョン・レノン「10年間、父と私はほとんど話をしなかった」

2020年3月、イギリスの新聞「The Guardian」紙にジュリアン・レノンによる父ジョン・レノンの回想が掲載された。 www.theguardian.com 自分と母を捨ててオノ・ヨーコのもとへ走った父親への怒りと和解、音楽の道に進んでも父親のキャリアには追い付くことが…

【2010年代まとめ】70代になっても衰えを知らないロックの巨人たちの10年間を追いかける

ロックの歴史は1950年代、60年代、70年代・・・と年代別に区切って語られることが多い。 ということはこの2019年で終わる「2010年代」についても、将来は一つの区切りとしてまとめられて振り返ることになるのだと思う。 以下、このブログで取り上げてきたア…

ローリング・ストーンズ69年全米ツアー 「ライヴ」をビジネスとして確立したその功績

ちょうど半世紀前の1969年11月、ザ・ローリング・ストーンズは約3年ぶりとなる全米ツアーを行っていた。 その前の全米ツアーは1966年7月。 そのときは叫びわめく少女たちで埋め尽くされた小・中規模のライヴハウスが中心だったが、この69年のツアーでは音楽…

【追悼】ジンジャー・ベイカー 2009年のインタビュー 「どいつもこいつもバカばかり」だが「私は黄金の10点満点」

ジンジャー・ベイカー死去のニュースは、60年代のロックを愛する人たちにとっては2019年の大きな出来事のひとつだったと思う。 以下はベイカー70歳の時に行われたインタビュー。 Ginger Baker interview: an afternoon with the world’s most irascible drum…

ポール・マッカートニーが一流ベーシストであることを再発見できる『Abbey Road』の抽出音源

間もなくリリースから50周年を迎え、デラックスエディションのリリースも決まっているザ・ビートルズの『Abbey Road』。 このアルバムの収録曲のベーストラックを抽出した音源をYouTubeで聴くことができる。 やはりポール・マッカートニーが超一流のベーシス…

ボブ・ディランが1969年ワイト島フェスで3年ぶりのカムバック(そしてザ・フー)

1969年のワイト島フェスティヴァルは8月29~31日にかけて行われた。 観客動員数は合計15万人。 ボブ・ディラン、ザ・バンド、ザ・フー、フリー、ジョー・コッカーらが出演した。 ワイト島のフェスティヴァルはすでに第1回目が前年の1968年に行われており、ま…

ビートルズ『Abbey Road』アルバムジャケット撮影から50周年(1969年8月8日)

ザ・ビートルズはちょうど50年前の8月8日、おそらく彼らにとって一番有名な写真撮影を行っていた。 こちらはその8日の朝、まだ4人が現れる前にロケーションを撮影したもの。 撮影は写真家イアン・マクミラン。フリーランスのフォトグラファーで、ジョンとヨ…

ブラインド・フェイス50周年 なぜクラプトンはこのスーパーグループを脱退したのか?

1969年7月7日、ロンドンのハイド・パークに10万を超える数の人が集まった。 新しいスーパーグループの誕生をその目で確かめるためだった。 新バンド「ブラインド・フェイス」のラインナップは驚くべきものだった。 クリームから二人(エリック・クラプトンと…

エリック・クラプトンの "クリーム・ギター" 「ギブソン ES-335」の歴史を追いかける

5年前にもこのブログで「ES-335」についてふれたことがあった(「エリック・クラプトンのギター② ギブソンES-335」)が、もっと詳しいことが分かったので、あらためてこのギターの歴史を追いかけたい。 "クリーム・ギター" の誕生 エリック・クラプトンがこ…

クリームのラストアルバム『Goodbye』を酷評した当時の雑誌「価値のあるアルバムではない」

「ローリングストーン誌が発売当初に酷評した名アルバム10選」というこの記事には、以下の10タイトルが含まれている。 ジミ・ヘンドリックス 『Are You Experienced』(1967年) レッド・ツェッペリン 『Led Zeppelin』(1969年) ブラック・サバス 『Black …

ザ・フー『Tommy』50周年 ピート・タウンゼントが語るロック・オペラの誕生と自身の子供時代

以下は2013年にピート・タウンゼントが『Tommy』について語ったインタビューの日本語訳(Pete Townshend talks about The Who’s Tommy | The Star)。 ピートは今までもいろいろなところでこのアルバムについて語っているし、このインタビューも今となっては…

キース・リチャーズのフェンダー・テレキャスター「ミコーバー」の歴史を追いかける

キース・リチャーズのトレードマークのようになっているこのフェンダー・テレキャスターは、ローリング・ストーンズが南フランスで『Exile on Main St.』のレコーディングをしていたときに届けられた。 キース27歳の誕生日の祝いにエリック・クラプトンから…

ピートとロジャーが語るザ・フー13年ぶりの最新アルバム

ザ・フーが13年ぶりにリリースする予定の最新アルバムは、現代社会の様々な問題について取り上げているらしい。 たとえば芸能界でいまだに後を絶たないセクハラや性的暴行といった問題から “男性は将来どのように変わらなくてはいけないか” というテーマや、…

デヴィッド・ギルモアの「ブラック・ストラト」をめぐる長く興味深い歴史を追いかける

2019年1月、デヴィッド・ギルモアのギター120本以上がオークションにかけられることがニュースになったとき、彼のトレードマークである「ブラック・ストラト」もカタログに含まれていることがとくに話題になっていた。 このブラック・ストラトは15年間メイン…

Exhibitionism-ザ・ローリング・ストーンズ展 惜しげもなく見せてくれる半世紀の歴史を堪能

開催初日からすでにひと月以上経過しているが、ようやく「Exhibitionism-ザ・ローリング・ストーンズ展」(東京・五反田TOC)へ行ってきた。 ストーンズの "歴史" についてはある程度知っているつもりなので、軽い気持ちで会場に赴いたが、その内容に圧倒さ…

エリック・クラプトン 2019年4月15日@日本武道館セットリスト まだまだ現役バリバリの名演奏を堪能

エリック・クラプトンの3年ぶりの武道館公演が行われている。今回は2日目に行ってきた。 ちょうど3年前の2016年4月に行われた前回の武道館公演では、まだリリースされていないアルバムの収録曲を歌ったり、クラプトン以外のミュージシャンが歌う曲が複数含ま…

リンゴ・スター 1969年1月のインタビュー「人々の望むものに合わせてずっと生きているわけにはいかない」

以下は1969年1月21日に行われたリンゴ・スターへのインタビュー。その数日後にBBCラジオ1で放送されたものである。 1969年1月はビートルズが「Get Back」セッションをしている真っ最中だった。インタビューの日はいわゆる「ルーフトップ・コンサート」の10日…

リンゴ・スター・アンド・ヒズ・オールスター・バンド 2019年4月7日@東京ドームシティホール

リンゴ・スター・アンド・ヒズ・オールスター・バンドが2016年10月以来2年半ぶりに来日して、現在日本縦断ツアーの真っ最中である。全11公演のうち、東京公演の最終日に行くことが出来た。 私は2016年の来日公演をBunkamuraオーチャードホールで観たあと、こ…

ザ・フー「Pinball Wizard」 クラシック音楽に触発されギブソンJ-200で演奏されたロックの名曲を追いかける

1968年の暮れ(または翌69年の始め)ごろ、ザ・フーはまだラフミックの状態だった『Tommy』を音楽評論家のニック・コーンに聴かせた。 しかしコーンはあまりいい反応を示さなかった。 // ピート・タウンゼントはコーンと話し合う中で、このロックオペラは主…

ボブ・ディランとジョニー・キャッシュ 1969年の共演とそれまでの経緯

// ボブ・ディランとジョニー・キャッシュはすでに1960年代前半に出会っていた。二人がディランのピアノに合わせて歌っている様子をとらえた、おそらく1965年のものと見られる映像が『No Direction Home』にも含まれていたのを記憶している。 しかしその以前…

ビートルズのルーフトップ・コンサート 現場に駆けつけた警察は4人を逮捕しようとしたのか?

ザ・ビートルズは1968年夏、このサヴィル・ロウにあるビルを購入し、その地下にスタジオを設置した。のちにリンゴ・スターの『Ringo』やジョージ・ハリスンの『Living In The Material World』などがこのスタジオでレコーディングされることになる。 映画『L…