【祝 80歳】ボブ・ディランが弾いたアコースティック・ギターの数々を追いかける
ボブ・ディラン、御年80歳。おめでとうございます。
本当であれば2020年4月にライヴを観ることができるはずだったが、1年以上たった今でもそれが実現する見込みがない。
最近のライヴでのボブ・ディランについては、ギターどころかピアノで数曲演奏するだけで、ほとんどがスタンドマイクの前で歌う立ち姿が普通になった。
さらにこの人の場合、ポール・マッカートニーのヘフナー・ベースやエリック・クラプトンのストラトキャスターなどのような "トレードマーク" になっている楽器はなく、情報量も少ないのだが、ここではあえてディランの演奏してきたアコースティック・ギターの数々を追いかけてみた。
- 1949年製 マーティン 00-17
- 1940年代製 ギブソンJ-50
- 1930~33年製 ギブソン ニック・ルーカス・スペシャル
- マーティン 0-45
- ギブソンJ-200
- マーティン 0-18 および 000-18
- マーティン 00-21
- マーティン D-28
- ヤマハ・アコースティック
- ウォッシュバーン EA-20
- マーティン・ネガティブ・D-28
1949年製 マーティン 00-17
ディラン最初のアコースティック・ギター。 1959年にミネアポリスに滞在していた際、当時持っていた質の悪いエレキ・ギターとの交換で手に入れ、その後数年間弾いていたと『自伝』に書かれている。
ウッディ・ガースリーが同タイプのマーティンを弾いていたことから、ディランもこのギターに手を伸ばしたのだろう、というのが定説。
現在このギターは米シアトルにある「Museum of Pop Culture」に展示されているらしい。
1940年代製 ギブソンJ-50
ディランの2本目のアコースティック・ギターだが、正確なモデルは分かっていない。
ヘッドストックの「Gibson」ロゴを見ると、1948年に変更された新しいデザインではなく古いロゴなので、48年以前に作られたものだろうと推定されている。
その場合、おそらくこのギターは「ギブソン J-50」で、ピックガードがティアドロップ型であることから製造は1947~48年である可能性が高い。
1962年のデビューアルバムのジャケットで持っているのがこのギターである。また63年リリースのセカンドアルバムでも数曲で使用されており、下の「Blowin’ in the Wind」のビデオでディランが弾いているのもこのギブソン J-50である。
1930~33年製 ギブソン ニック・ルーカス・スペシャル
ディランは上記のギブソン J-50を1963年頃に紛失している。 そのためニューヨークで新たにこの「ギブソン ニック・ルーカス・スペシャル」を手に入れた。
このギターは13フレットなので、1930~33年に製造されたモデルに当てはまる。
ボディは元々はサンバーストだったが、ブロンドに塗り替えられている。またこのモデルは通常トラピーズ・ブリッジが取付られていたが、後にギルド・ブリッジに変更されている。
1964年の『Another Side of Bob Dylan』や、65年の『Bringing it All Back Home』で演奏されているギターである。
マーティン 0-45
1964年のニューポート・フォーク・フェスティバルで「Mr. Tambourine Man」を歌ったときに使用されたもの。
しかし、同じくこのフェスに出演していたジョーン・バエズが全く同じギターを持っているため、ディランが彼女から借りたもので彼自身の所有ではないだろうと言われている。
ギブソンJ-200
ディランは何種類ものJ-200を使用していた。 1965年のニューポート・フォーク・フェスティバルではダブル・ピックガードのものを演奏している。
1969年のアルバム『Nashville Skyline』のジャケットで持っているのもまた別のJ-200で、これと同じJ-200をワイト島フェスティバルでも演奏していた。このギターはジョージ・ハリスンから贈られたものだと言われている。
マーティン 0-18 および 000-18
ディランはマーティン「0-18」と「000-18」を演奏していた時期もある。
1969年のジョニー・キャッシュとのデュエット曲「Girl From the North Country」で演奏していたのは「000-18」。その前年68年1月に出演したウッディ・ガスリーのトリビュート・コンサートでは「0-18」を演奏している。
マーティン 00-21
1974年5月9日に行われた「フレンズ・オブ・チリ ベネフィット・コンサート」で演奏されたのがこのギター。 75年のアルバム『Blood On the Tracks』のレコーディング・セッションでも使用されたとみられている。
マーティン D-28
マーティン「D-28」(または「HD-28」)も複数使用していた。
1971年8月に出演した「The Concert for Bangladesh」、1975~76年の「Rolling Thunder Revue」ツアー、1995年の「MTV Unplugged」コンサートでは「D-28」を演奏している。
また1990年代には「HD-28」を数本使用している。1992年10月に行われた自身の「30周年記念コンサート」で演奏していたのも「HD-28」である。
ヤマハ・アコースティック
初来日した1978年ごろからヤマハのギターを使い始めたと言われている。 「L-6」や黒の「L-52」、白のスクエア・ピックガードなどを愛用していた。
ウォッシュバーン EA-20
1982年からは「ウォッシュバーン EA-20」を使い始める。
1982年6月にカリフォルニア州パサディナで行われた「Peace Sunday: We Have a Dream Concert」ではサンバーストのEA-20を演奏していた。
その後1986~87年には、黒と白の2種類のEA-20を使用している。
ライヴアルバム『Real Live』のジャケットで演奏しているギターもウォッシュバーンである。
マーティン・ネガティブ・D-28
これはマーティンが製作した特注ギター。 ギター雑誌の表紙を飾ったギターを見たディランが、マーティン社に自分用のものを作ってくれるよう依頼したところ、2本のギターが特別に作られた。
2001年に来日した際にもこのギターを演奏している。
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