エディ・ヴァン・ヘイレンの訃報を受けて(個人的なノート)
私にとっては2001年のジョージ・ハリスンの訃報以来の衝撃だった。
ファンになってから久しいアーティストについては、いつまでも一緒にいてくれる、いつになってもニューアルバムをリリースし、ツアーをしていてどこかで演奏しているものだ、とそんな気がしてしまう。
月並みだが、早すぎるというのが率直な気持ちだ。 70代になっても現役でツアーを続けるミュージシャンたちがたくさんいる中、60代で亡くなるのは間違いなく早すぎる。
以前、ピンク・フロイドのデイヴィッド・ギルモアについて調べていたとき、ギルモアのギタリストとしての存在意義はジミ・ヘンドリックスがいなくなった後、エディ・ヴァン・ヘイレンが登場するまでのあいだをつないだことだ、という趣旨のコメントを読んだことがあった。
これを読んだとき、「エレキギターの演奏方法」という点に関する限り、ジミ・ヘンドリックスに次いで大きな存在なのがこのエディ・ヴァン・ヘイレンだったことに気づかされた。
タッピング(ライトハンド奏法)はエディの発明ではなかったが、これを完全に自分のものにし、曲の中に自然に取り入れ、その曲をヒットさせ、アルバムはトップセールスを続け、さらにそのバンドがロック史上の一時代を築くところまで成し遂げたのはヴァン・ヘイレンが初めてであり、その後も匹敵する存在は現れていない。
私は1998年にヴァン・ヘイレンが『Van Halen Ⅲ』のツアーで来日したときに、横浜アリーナで彼らのライヴを観ることができた。 本当に盛り上がり、ヒット曲もたくさんやってくれたライヴだった。
エディのギターソロのパートもあり、その中にはあの「Eruption」も含まれていて、それを生で耳にしたときに感じた、後頭部から背中にかけてゾクッとくる感覚は今でもはっきりと覚えている。
ヴォーカルは元エクストリームのゲイリー・シェローンだったので、ヴァン・ヘイレンのメンバーとしては異色のラインナップだったかも知れない。
2013年に最後の来日をしたときは、東京ドームに行くチャンスを逃してしまったが、その前年にリリースされた最後のスタジオアルバム『A Different Kind of Truth』はリリースと同時にダウンロードして何度も聴いた。
今となっては、東京ドーム公演を逃してしまったことをとても後悔している。
ボブ・ディランが、ポール・マッカートニーが、ザ・ローリング・ストーンズがいつまでもやり続けてくれる中、もう二度とヴァン・ヘイレンを観ることができないのは本当に寂しい。
それと同時に、ロック界ではほかの人にはできなかった大きな貢献をしてくれたわけであり、これ以上の貢献をエディに望むのは贅沢すぎる要望かも知れない、とも思う。
ヴァン・ヘイレンはスタジオアルバムを12タイトル、ライヴアルバムを2タイトル、それぞれリリースしており、今後はこれらを聴き続けることができるのがせめてもの救いだ、と自分に言い聞かせている。
私個人にとって最も思い入れが深いのは、やはりリアルタイムで聴いた『Van Halen Ⅲ』なので、ここでは「Without You」を聴き返したい。
合掌。