ヴァン・ヘイレンのファースト・アルバム リリースの40年後にあらためて学ぶ19のこと
ヴァン・ヘイレンは1978年2月10日、自身の名を冠したデビュー・アルバムをリリースした。
以下は、(熱心なファン以外には)あまり知られていない、このアルバムにまつわる19のエピソードである。
1. ヴァン・ヘイレンはこのアルバムをわずか3週間でレコーディングした。オーバーダブなしの一発録りで完成させた曲がほとんどである。
2. アルバム・ジャケットの写真はロサンゼルスの「Whisky a Go Go」で撮影された。(訳注:「Whisky a Go Go」は米カリフォルニアにあるナイトクラブで、ヴァン・ヘイレンはデビュー前ここで定期的に演奏していた)
3. デヴィッド・リー・ロスはヴァン・ヘイレンのアルバムの中ではこのアルバムがお気に入りだと言ったことがある。
4. 「Runnin’ with the Devil」は悪魔的な曲であると誤って解釈されてきた。ヴァン・ヘイレンはこの曲が何についての歌であるかを明言したことはないが、ツアーを続ける若いバンドについて歌っているものであると考えられている。
5. 「Runnin’ with the Devil」は車のクラクションでスタートする。この音はバンドメンバーが所有していた車のクラクションを使った。クラクションを車から取り外し、箱に入れ、2つのカーバッテリーとフットスイッチに接続。さらにレコーディングした音のスピードを落として曲の始めに使われた。ちなみにこのクラクションを入れるというアイデアはキッスのベーシスト、ジーン・シモンズのもの。シモンズは1977年にヴァン・ヘイレンのデモテープを制作したことがあった。
6. 「Runnin’ with the Devil」の歌詞はファンク・バンド、オハイオ・プレーヤーズの同名の曲からインスパイアされている。
7. インストルメンタル曲「Eruption」は、遅くとも1976年にはヴァン・ヘイレンのセットリストに含まれていた。
8. 「Eruption」によって、エディ・ヴァン・ヘイレンのタッピング奏法がロックの世界に知れ渡ることになった。
9. 「Eruption」はもともとアルバムには収録されない予定だった。エディはこの曲はバンド向きではないと考えていた。しかしプロデューサーのテッド・テンプルマンはエディがライヴのリハーサルでこの曲を演奏しているのを耳にしたことがあり、エンジニアが偶然エディの演奏をレコーディングしていたため、テッドがそれをアルバムに収録したのである。
10. この「Eruption」の演奏でエディは一つミスをしているらしい。今でもそれを聞くと「もっと良く演奏できたのに」と思うという。
11. ザ・キンクスのカヴァー「You Really Got Me」をシングルリリースすることになったのは、エディがエンジェルというバンドと顔を合わせたことがきっかけだった。エディはある日、エンジェルのドラマーにこのヴァン・ヘイレン・ヴァージョンの「You Really Got Me」を聞かせた。するとその翌日、エンジェルも自分たちで「You Really Got Me」をレコーディングして、ヴァン・ヘイレンよりも先にリリースする予定であることを知らされた。そのためレコード会社は急きょファースト・シングルとしてリリースすることを決定したのである。
12. しかしエディ本人はこの「You Really Got Me」がファースト・シングルになると聞いて不満をあらわにした。ほかの人の曲をファースト・シングルにしたくなかったからである。エディのお気に入りは「Jamie’s Cryin’」であった。
13. ザ・キンクスのギタリストデイヴ・デイヴィスはヴァン・ヘイレンのヴァージョンが好きではない、と伝えられている。ある観客から、キンクスは「ヴァン・ヘイレンの優れたカヴァー」をやっている、と言われたからである。一方、同じキンクスのヴォーカルでデイヴの兄であるレイ・デイヴィスは、ヴァン・ヘイレンのヴァージョンが好きらしい。理由は「笑わせてくれるから」。
14. エディは「Ain’t Talkin’ ‘bout Love」を書いたとき、この曲がバンド・メンバーに聞かせるほどいいとは思わなかった。
15. エディはこの「Ain’t Talkin’ ‘bout Love」をパンク・ロックのパロディとして書いたつもりだったが、パンクっぽいサウンドにはなっていない。
16. 「Ain’t Talkin’ ‘bout Love」はその場限りの “体の関係” について書かれた曲である。
17. 同様に「Jamie’s Cryin」も、"一夜限りの関係" を持ってしまったとを後悔している女性を歌ったもの。"一夜限りの関係" に事欠かなかったデイヴ・リー・ロスがこの曲の歌詞を書いている。
18. 「Ice Cream Man」はシカゴ・ブルースマンのジョン・ブリムの曲のカヴァーである。ジョン・ブリムは1953年にオリジナルをレコーディングしている。
19. アルバム『Van Halen』はアメリカだけで1千万枚を売り上げ、「ダイアモンド・ディスク」に認定されている。