ローリング・ストーンズのセカンド・アルバム ジョン・レノンが好きではない1曲とは
1965年1月15日、ザ・ローリング・ストーンズはセカンド・アルバム『ザ・ローリング・ストーンズ No.2』をリリースした。
当時は本国イギリスとアメリカでは異なる曲目・曲順でアルバムが編集されており、このアルバムはイギリスでのセカンド・アルバムということになる。
【デビューから続く大ヒットアルバム】
イギリスでのデビュー・アルバムであった『ザ・ローリング・ストーンズ』は前年の1964年にリリースされ、イギリスで大ヒットとなった。
1964年はザ・ビートルズがイギリスのみならずアメリカをも征服した年である。
しかしストーンズのデビュー・アルバムは、そのビートルズのセカンド・アルバム『ウィズ・ザ・ビートルズ』を引きずり落として全英No.1となり、ビートルズが次の『ア・ハード・デイズ・ナイト』をリリースするまでそのまま首位をキープし続けた。
翌1965年にリリースされたこの『No.2』は、このデビュー・アルバムの路線を引き継ぎ、R&Bのカヴァー曲中心の曲目となった。
同時にミック・ジャガー/キース・リチャーズのコンビによる曲が3曲収録されている。
このアルバムのためのレコーディング・セッションは特別に開かれることはなく、1964年の2~11月にわたってシカゴやハリウッド、およびロンドンのスタジオで個別にに録音された曲が収められている。
このアルバムはリリースと同時に全英No.1ヒットとなり、再びビートルズの『ビートルズ・フォー・セール』から首位を奪い取った。
途中ボブ・ディランの『フリーウィーリング・ボブ・ディラン』に首位を譲ったが、再び一位に返り咲き、合計で10週間首位をキープ。1965年のイギリスで最もヒットしたアルバムの一つとなった。
【ジョン・レノンが “苦言を呈した” 曲とは?】
このアルバムを聴いたジョン・レノンは「アルバムは素晴らしいよ。でも5分も続く曲は俺は好きじゃないな」と言った、とビル・ワイマンは自身の著書で証言している。
ジョンの言う「5分も続く曲」とはアルバムの1曲目にある「Everybody Needs Somebody to Love」のことであろう(ほかには5分以上の曲は収録されていない)。
この 「Everybody Needs Somebody to Love」は、1964年2月にソロモン・バークがリリースしたのがオリジナルである。
『No.2』の収録曲はすべて1964年にレコーディングされているので、ストーンズはオリジナルがリリースされた年にこの曲を取り上げ、カヴァーしたことになる。
ソロモン・バークのオリジナルは全米トップ40に入るヒットにはならなかったが、1966年にウィルソン・ピケットがカヴァーし、ポップ・チャートやR&Bチャートでトップ40入りをしている。
また1980年には『ブルース・ブラザーズ』でもカヴァーされ、注目された。
ストーンズは2002年から2003年にかけて行った「リックス・ワールド・ツアー」の一部この曲を取り上げ、パリで行ったライヴ・パフォーマンスにはソロモン・バーク本人が参加した。
またこの様子は2004年にリリースされた『ライヴ・リックス』にも収録されている。
ジョン・レノンがなぜ5分間続く曲を好まなかったのかは不明だが、当時のビートルズの曲はすべて3分前後の長さであり、ビートルズの “スタンダード” から見ると5分は長すぎる、ということであろうか。
それともジョン特有の、今で言う「毒舌」であろうか。
当時はまだ「Satisfaction」の大ヒットの前ではあるが、ストーンズはすでにイギリス国内ではビートルズをと対抗できるバンドとなっていた。
ジョンのコメントは、そんなストーンズの存在を強く意識した発言のように感じる。