レッド・ツェッペリン 「Dazed and Confused」 本当は誰の作曲なのか?
レッド・ツェッペリンの代表曲の一つである「Dazed and Confused」は、ファースト・アルバムのA面最後の曲であり、また2枚組ライブ・アルバム『The Song Remains the Same』では1枚目のB面にこの曲のみが収録され、27分を使ってその長いライブ・パフォーマンスすべてを堪能できる。
クレジットもジミー・ペイジとなっているが、調べてみると実際はジェイク・ホームズというアーティストの同名の曲があり、それが“オリジナル”と言われているようである。
ジェイク・ホームズ(またはホルムズ)は1939年生まれ。アメリカのシンガー・ソングライターで、フランク・シナトラにも曲を提供するなど、作曲家として評価を得ていた。
1967年6月、ホームズは自身のアルバム『"The Above Ground Sound" of Jake Holmes』をリリースした。
ホームズによる「Dazed and Confused」はドラムスなしの曲で、歌詞も後のツェッペリン・バージョンとは異なっている。
同じ67年の8月、ホームズはニューヨークにてヤードバーズのライブの前座として舞台に立った。そこでホームズは自分のレパートリーとして「Dazed and Confused」を演奏した。
このとき舞台袖で自分の出番の準備をしていたジミー・ペイジは、この曲を知ったのである。
翌日ヤードバーズのメンバーとともにニューヨーク市内のレコード店に赴いたペイジは、ホームズのアルバムを購入。
前日に聞いた曲を復習し、彼らなりのバージョンでこの「Dazed and Confused」を作り直し、歌詞も書き換え、レパートリーに加えた。
ドラムも含めヤードバーズのフルメンバーで演奏するバージョンに書き直したのみならず、ヴァイオリンの弓でギターの弦を弾くという、前代未聞のパフォーマンスまで含まれることになった。
ヤードバーズはこの「Dazed and Confused」の公式スタジオ録音をリリースすることはなかったが、彼らのライブで定番のレパートリーとなった。
この曲を演奏した1968年3月のライブはレコーディングされ、1971年にライブ・アルバム『Live Yardbirds: Featuring Jimmy Page』としてリリースされている。
しかし、明らかに「Dazed and Confused」でありながらアルバムのトラック・リストには「I’m Confused」というタイトルで紹介され、さらには作詞・作曲のクレジットが記載されていなかった。
その2年前の1969年にレッド・ツェッペリンとしてファースト・アルバムに収録されたときは文字通り「Dazed and Confused」(Jimmy Page)と記されている。
2010年、ジェイク・ホームズは著作権侵害でジミー・ペイジを訴えた。
レッド・ツェッペリンが1969年に発表する2年前にこの曲を作詞作曲、ホームズ自身がアルバム収録曲としてリリースしており、著作権登録も1967年に行っている、という主張であった。
2012年にこの訴えは却下された。ジェイク・ホームズとジミー・ペイジの間で示談が成立したものと見られている。
最近は「Dazed and Confused」(Jimmy Page inspired by Jake Holmes)と、ホームズにインスパイアされたことを明記するようになったようだ。
1968年、ヤードバーズの分裂後に、後のレッド・ツェッペリンを構成するメンバーと最初のセッションをしたとき、ペイジはこの曲を披露し「この曲をやりたいんだ」と語ったと伝えられており、自分の新バンドであらためてこの曲を完成させたいと考えていたことが分かる。
ジミー・ペイジにとっては特に思い入れの強い曲であったに違いない。