エルヴィス・プレスリー その代表的ギター3本について
エルヴィス・プレスリーは1935年1月生まれ。今年2015年で生誕80周年を迎えた。
すでに40年近く前(1977年)に亡くなっており、今では歴史上の人物のように見られがちだ。
しかしボブ・ディラン(73歳)やポール・マッカートニー(72歳)が現役でステージに立ち、ニューアルバムもリリースし続けているのを見ると、もしエルヴィスが存命ならば今でも歌っていたかもしれない、と想像せざるを得ない。
エルヴィスはディランやビートルズとは異なり、自分で曲は書かずにあくまで歌手であった。
ステージに立つときはバックバンドを従え、その中にはギタリストが含まれていた。エルヴィス自身もギターをかき鳴らしてはいたが、彼自身がギタリストとしてみなされることはなかったと思う。
しかしそれまでポピュラー音楽の最前線であったビング・クロスビーやフランク・シナトラらとは異なり、楽器を弾きながら歌うことを一つのスタイルに仕立て上げた一人でもある。
そんなエルヴィスが弾いていたギターは数多くあるが、とくに有名と思われる3本について調べてみた。
【Martin D-28】
エルヴィス・プレスリーのデューアルバムは1956年3月にリリースされた。そのジャケットでエルヴィスが弾いているのが「マーティンD28」である。
エルヴィスはこのギターを前年の1955年にメンフィスで購入している。彼が数々のTV番組に出演し一大センセーションを巻き起こしたころ、頻繁にこのギターを弾いていた。
Martin D-28のボディは、ご覧の通りメープルである。
ある日、友人がギターのボディに革製のカヴァーを装着しているのを見たエルヴィスは、これを欲しがり、自分のギター用に注文して作らせた。
このカヴァーの正面には自分自身の名前が彫られている。
エルヴィスが「D-28」を弾かなくなった後、このカヴァーはエルヴィスのボディガードであったアラン・フォータス氏の手元にあった。フォータス氏が亡くなる前、カヴァーはコレクターに売却され、現在は日本にあるという情報もある。
【Gibson J-200】
上のMartin D-28を1年ほど使用した後、エルヴィスはこの「ギブソンJ200」を手に入れた。
バックバンドでギターを担当していたスコティ・ムーアがギブソンのギターを弾いていたことから、エルヴィスもギブソンを使うようになったという。
J-200を入手したエルヴィスは、その後しばらくの間このギターをメインギターとして弾いていたようだ。1956年にリリースされたセカンド・アルバムのジャケットで手にしているのも、この「J-200」らしい。
TVパフォーマンスのみならず、映画でもこのギターを手にしてるのを見ることができる。(この動画では「手にしている」だけで演奏していないが…)
【Gibson Super400】
1968年12月『エルヴィス』と題されたスペシャル番組が全米で放映された。通称「'68 Elvis Comeback Sepcial」と呼ばれるこの番組でエルヴィスの弾いたギターが「ギブソン・スーパー400」だった。
このギターのもとの所有者は上記のスコティ・ムーアだった。
ムーアは1963年にこのギターを購入し、レコーディングなどで演奏している。エルヴィスは「Comeback Special」の出演にあたり、ムーアから借りて使用した。
ムーアはエルヴィスの死後もこのギターを所有していたが、1986年にコレクターに売却。さらにそのコレクターはハード・ロック・カフェに売却した。
テキサス、フロリダ、ロンドンなどのハード・ロック・カフェに展示された後、現在はメンフィスのハード・ロック・カフェに展示されているという。