ローリング・ストーンズ 「アンダーカヴァー」 30周年

バンド内の確執がいい意味で機能し、最終的に成長を続けていく人たちがまれに存在する。ローリング・ストーンズがそのもっともわかりやすい例である。

1982年に録音が開始され、翌83年にリリースされた「アンダーカヴァー」は、ミック・ジャガーキース・リチャーズの対立が顕著になり始めたころのアルバムである。常に新しいものに敏感で、ストーンズを最新かつ実験的なバンドとして存在させたいミック。一方、バンドのロック&ブルースの根源に注力し続けたいキース。二人の間に起った摩擦のせいで、以後数年にわたってバンド内の緊張が高まることとなる。

このアルバムはイギリスのチャートで3位、アメリカでは4位、と評価も高く、商業的にも成功した。もっとも、それまでアメリカではアルバムを8枚連続で1位に送り込んできたストーンズにとって、少々残念な結果でもあった。


こうしてあらためて聴いてみると、たとえバンド内で意見が分裂していたとしても、やはりストーンズは彼らにしか作れない音楽を作り出してくれることがわかる。