ベック・ボガート&アピス 40周年

伝説のロックバンドと呼ばれるバンドは、往々にしてエゴのぶつかり合いで終わってしまうものなのであろうか。

おそらくすぐれたミュージシャンというのは自己主張の強い人も多いのだろう。自己主張が強いからこそ、すぐれたパフォーマンスをすることができるのだ。

クリームがあれほどの成功を収めながら、バンド内の亀裂のために数枚のアルバムを残して解散したことは、多くのファンにとって残念なことである。と同時に、アルバムを聴けば各メンバーの自己主張が演奏にあらわれていることから、長続きが難しいことも想像できるのである。

ではこのバンドはどうであろうか。1972年、ジェフ・ベックが元カクタスのカーマイン・アピスとティム・ボガートと組んでバンドを結成。翌1973年、セルフ・タイトル「ベック・ボガート&アピス」をリリース。さらにツアーも行い、一大ブームにはならなかったものの、演奏能力を重視する音楽ファンたちには高い支持を得た。

ベック・ボガート&アピスによるスティーヴィー・ワンダー「迷信」のカヴァー。


しかし、このバンドも「伝説」であった。一説ではセカンド・アルバム作成中にジェフ・ベックが勝手にバンドを脱退し、自然消滅したのが原因、との話もある。

最高の才能の持ち主たちによるたった1枚のスタジオ・アルバム。それだけで貴重な音源といえるだろう。