ピート・タウンゼントが自分のギターの歴史を語ったロング・インタビュー(2/3)

 

 

(「ピート・タウンゼントが自分のギターの歴史を語ったロング・インタビュー(1/3)」から続く。)

 

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1989年のツアーではアコースティックをたくさん弾いていましたが、今でもライヴでアコースティックを弾いていますか?最近はどんなものがお気に入りですか?

今は特製のギブソンJ-200をフィッシュマンのシステムで使っている。小さなマイクのついたピエゾをギター内部に搭載しているものだ。大音量にはならずにフィードバックする。それでも今までステージ上で演奏したものの中では、もっとも本物のアコースティックギターに近い音を出してくれる。最近スーパーボウルのハーフタイムショーに出演したが、オープニングの「Pinball Wizard」はこのJ-200で演奏したんだ。

 

ライヴコンサート以外で、レコーディングや自宅で弾く楽器としては最近はどんなものを好んでいますか?

スタジオには約40本のギターがある。だが、どんな時でも演奏するのは限られたものだけだ。最新のお気に入りはTune-o-maticブリッジのJ-200だ。ウッドブリッジのモデルほどアコースティックのいい音が出るわけではないが、レコーディングにはともて使いやすい。『Tommy』『Who’s Next』『Rough Mix』『Empty Glass』で使ったのがこのモデルだ。キース・リチャーズストーンズの「Wild Horses」で使っているのもこのモデルだ。グリン・ジョンズはノイマンのマイクを使って、サウンドホールから少なくとも2フィート離れているところでもいい音をさせる方法を知っていたんだ。

 

エレキ・ギターではステージで使うストラトや古いテレキャスターとかSGを使う。自宅にはかなりの数のコリングス・ギターがある。とても素晴らしいものばかりで、お気に入りだ。古いギターやアンプもいくつか持っている。アラン・ローガンがしばしば私を優れた楽器に巡り合わせてくれるんだ。自宅ではマンドリンもよく弾く。1971年製ギブソンや最近のコリングスも今でも持っている。両方ともとても優れたものだ。私はマンドリンで作曲するのが好きなんだ。チューニングがヴァイオリンに似ているので、クラシックやカントリーのヴァイオリン奏法を理解するのに役立つからだ。

 

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あなたは必ずしもギターコレクターとして知られているわけではありませんが、とくにお気に入りのアイテムは何ですか?

地元の楽器屋で買ったドブロのラップスティールギターだ。1928年製だと思う。フライパンのような形をしている。数年前にはニューヨークでミュート機構を搭載したBacon & Dayの完璧なテナーバンジョーを手に入れた。1956年製エピフォン・エンペラーも持っている。まるでジョン・リー・フッカーカール・パーキンスと魂を交換して死の床からよみがえってきたような音がするんだ。「Esquire with Parsons / White B Bender」もいい買い物だった。1970年代初めにジョー・ウォルシュがくれたオレンジ色のチェット・アトキンス・モデルは今でも持っている。すべての中でも最高のお気に入りのギターはイギリス製で、ファイルドの小型ギター「Ariel」だ。3本持っている。すべて優れていて、別々のチューニングにしてあるんだ。

 

今まで「このギターは壊さなければよかった!」と思ったギターはありますか?

一度だけある。たった一度だけ。たしか1968年だった。「Grande Ballroom」でのライヴのためにデトロイトにいた。ギターを持っていなかったので、現地の質屋に行ってストラトを2本手に入れた。1本は新しいものだったが、もう一つは古いやつで、きっと製造初年度のものだった。両方とも値段は高くなかった。店は自分たちがどんな代物を売っている分かっていなかったんだ。ステージでは、まず2本のうち古いほうから弾き始めた。あのギターはほぼ間違いなくバディ・ホリーのものだったのだ。バディ・ホリーのような音がしたんだ。自分がバディ・ホリーのような気分になった。音は素晴らしく、遠くから響く、鐘のような、サラサラで、とにかく素晴らしかった。ギターを叩き壊すときが来て、ギターを新しものに取り替えた。すると最前列にいた少年が「ダメだ」と文句を言ってきたんだ。「偽物じゃなくて、いい奴を叩き壊してくれ」。だから私はもう一度古いギターに取り替え、それを少年の手の上へ叩きつけてやったんだ。彼は今でも私を訴えてこない。彼にはそうする十分な権利があったはずだが。でも私は彼にとても怒りを覚えていたんだ。しかしこのギタースマッシュの話は私の過ちだし、個人的な、自分の考えであり、アーティストとしての主張であり、また私の愚かさでもあったのだ。あのギターは誰かの家の中に今でもきっとあると思う。おそらく演奏もできるだろう。その哀れな少年の手も、大丈夫であってほしいと願っている。この件については後悔と恥ずかしさを二重に感じるのだ。

 

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長年マーシャルやハイワットのアンプを使い続けてきましたが、最近はフェンダー・ヴァイブロ・キングを使っていますね。ほかにもいろいろなチョイスがある中、なぜフェンダーなのですか?

こんなことを言ったらマーシャルに訴えられるだろうが、最初のマーシャルアンプは事実上フェンダー・バスマンのヘッドアンプそっくりの複製品だった。音量調節のわずかな違いがあったが、その違いが大きな違いになったと私は言いたい。ヴァイブロ・キングは最近のマーシャルアンプよりも初期のマーシャルアンプに近い音がする。優れたアンプだが、真空管のバイアス調整などそれなりのメンテナンスが必要だ。私は10インチと12インチのスピーカーを二つのキャビネットでミックスしている。フェンダーは私にとても親切なんだ。気前よくものをくれるし、私の機材も割引してくれるんだ。

 

リッケンバッカーに目をつけるまでは、私はフェンダーストラトが欲しかった。現代のギターでもっとも美しいデザインのギターだと今でも思う。同じことが1960年代のアンプにも言える。見た目が美しい。マーシャルは「The Munsters」(※訳注)に出てくるものみたいだ。だから私はスピーカーにユニオンジャックの旗をかけているんだ。マーシャルを手に入れるまでは、バスマンとフェンダー・プロのスプリットワイヤーを持っていた。これこそ私が好きな音だ。アンプを2台使うというのが私にとって一番のコツだ。ジム・マーシャルを大音量にするのはその次だった。

(※訳注:「The Munsters」はお化けの家族が主人公のアメリカのTV番組。)

 

ライヴではどんなエフェクターを使っているのですか?

音に色合いをつけるためにT-Rexのディレイを、サステインとディストーションのためにBOSS OD-1を使っている。Demeterのコンプレッサーも使っている。これらのエフェクターはピート・コーニッシュが組み立ててくれたペダルボードに入っているんだ。

 

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ブルースやR&Bの強い影響を受けたロッカーとして長年活躍してきたあなたが、今は熟練したジャズ・ギタリストになりつつあると読んだことがありますが、本当ですか?

ジャズ・ギタリストとして熟練することなど決してない。しかしスティーヴ・クロッパーを聴き始める前はウェス・モンゴメリーを聴いていたんだ。ジャズには私が書く曲のような音階がたくさん入ったコードが使われている、ということに気づいた。しかし、革新的な仕事をする人たちはソロの中で実に少ない音階を使うものだ。マイルス(・デイヴィス)、ウェス、(ジョン・)コルトレーン。私は今でも学習の途中だ。それがギターの楽しいところだ。優れた演奏家がたくさんいて、素晴らしく革新的な(そして速い!)若い演奏家がたくさん出てくる。

 

若いころに影響を受けたギタリストたちは誰ですか?

ウェス、(ジミー・スミスと演奏している)ケニー・バレル、(ジミー・ジュフリーと演奏している)ジム・ホールバディ・ガイ、レッドベリー、ライトニン・ホプキンス、スヌークス・イーグリン、ビッグ・ビル・ブルーンジー、(ハウリン・ウルフと演奏している)ヒューバート・サムリン、アルバート・キング、スティーヴ・クロッパー、ドン・エヴァリー、(ザ・シャドウズの)ブルース・ウェルチ、エディ・コクランジミ・ヘンドリックス、そしてニール・ヤングだ。アートスクールにいたときバート・ヤンシュに出会い、フォークミュージシャンたちがテクニック(変則チューニング!)を使っていることに気がついたこともある。

 

 

 

(「ピート・タウンゼントが自分のギターの歴史を語ったロング・インタビュー(3/3)および使用機材一覧」へ続く。)

 

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出典:Pete Townshend: On Guitar-Smashing Regrets, Stylistic Evolution, and Becoming a Gear Aficionado