ピート・タウンゼントが自分のギターの歴史を語ったロング・インタビュー(3/3)および使用機材一覧

 

 

(「ピート・タウンゼントが自分のギターの歴史を語ったロング・インタビュー(2/3)」から続く。)

 

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最近の若いギタリストたちで聴き応えがあったり影響力があると感じる人はいますか?

たくさんいる。文字通り、何百人もいる。ギターは今や誰でも手に入れることができるものだ。素質があるなら若いうちから始めたほうがチャンスはより大きくなる。意識を失ってしまうくらいすごい速弾きのできる10代の若いギタリストを知っているし、相談も受ける。

 

難聴についてですが、今の状態はどんな感じですか?補聴器は使っていますか?ステージではイヤフォンをつけていると思いますが、聴力をどうやって守っているんですか?

ステージでは補聴器を使ってはいない。まだ必要ない。この前、両耳につける変換器が3つ付いたマイクロプロセッサで作動するものを教えてもらったばかりだ。音はすごくいい。しかし中国人たちが私のコンサートをハッキングするかも知れないからな・・・ この数か月間、補聴器をつけている。新しいものは素晴らしい。小さいんだ。私の聴力を守る唯一の方法は、音楽の演奏をやめることだ。私の抱えているほとんどの問題は長い期間にわたってスタジオでやってきた作業が原因なのだが、これが私の作曲方法なんだ。だから今から将来が心配だ。

 

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今まで数十年にわたってレコーディング作業にかかわってきましたが、その間レコーディング技術はどう変化してきましたか?また、現代のテクノロジーをどのように使っているのですか?

私は新しいものと古いものを混ぜて使っている。プロ用のアナログテープ・マシンを走らせるとともに、コンピュータで「Digital Performer」や「Ableton Live」も使う。機材は次々に良くなってきている。デジタル技術の登場は扱いにくいところがある。最初はひどい音だったんだ。私はシンクラヴィアをデジタル機材として使用していたのでラッキーだった。1984年当時、モノラルは100KHz、ステレオは50KHzで完全なサンプリングをしていた。今ではやりたければラップトップでこのサンプリングが出来る。

 

あなたはつねにインターネットを支持してきましたし、何年にもわたってご自分でも使ってきました。『Psychoderelict』のコンセプトを考え出したとき、アルバムのテーマである「grid」によってインターネットの普及を予想していたことには気づいていたのですか?

私は1971年の『Lifehouse(※訳注)のときにインターネットを予想していた。しかしその功績をすべて自分のものにすることはできない。1961年にアートスクールで、コンピュータはいずれ芸術家の働き方、コミュニケーション、そして社会の動き方も変えるだろう、と教わったのだ。

(※訳注:『Lifehouse』は『Tommy』に続いて企画されていたロックオペラ。結局実現せず、1971年に『Who's Next』がリリースされた)

 

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『Floss』という仮タイトルが付けられているザ・フーのニューアルバムのために曲作りをしていると伺いましたが、もう少し詳しく教えてください。

『Floss』はザ・フーのニューアルバムではない。ミュージカルだ。曲のいくつかはロジャーと私が演奏できるだろう。まだ作業の途中だ。あと1年は書き続けることになると思う。

 

ジョン・エントウィッスルが亡くなった直後のツアーはどんな感じだったのですか?あなたとロジャーにとってはきわめて辛かったはずですが。

辛いことだったが、私たちにできることはほかになかった。

 

将来またザ・フーのツアーをする予定はありますか?

今のところツアーの予定はない。

 

ザ・フーとともに47年のキャリアを経て、何か後悔していることはありますか?またバンドといっしょにライヴで演奏していて、今でも感情の高揚や身震いを感じることはありますか?

演奏をしていて感情が高まったり身震いしたりすることは一度もなかった。それが自分に合っているし、やりやすく、自然に感じる。後悔もない。私はアートスクールを離れてからこの仕事、家業のようなこの仕事にはまり込んだ。それによって(自分にとってはきわめて自然な)ポピュラーミュージックと野心的な創作を統合するチャンスを得られた。だから私はとてもラッキーだったのだ。それにザ・フーのメンバーやマネージャーたちが長年優れたサポートもしてくれた。ぶっ飛ぶようなアイデアがたくさんあったんだ。

 

心のどこかでザ・フーがこれほど長続きするだろうと考えていましたか?また自分の残してきた音楽や作品全体について満足していますか?

1982年から2006年までレコーディングをしていないのはとても残念だ。いくつかいいソロアルバムを制作したが、ブレイクも必要だったのだと思う。今のところ満足している。まだ終わってほしくないと願っている。

 

ギターを弾く読者たちに向けて伝えたい知恵や助言をお願いします。

ギターは実に素晴らしい友人だ。部屋から部屋へ、家から家へと運びやすい。ギターを弾く人は、それだけで十分幸せなのだ。

 

(インタビュー終)

 

 

ピートの使用機材一覧(2010年現在)

 

【ギター】

フェンダーストラトキャスター エリック・クラプトン・モデルに以下の改造を加えたもの:

・フィッシュマン・アコースティックのブリッジ・ピックアップを搭載。

・EMGプリアンプを搭載し、半分がディメーターDIボックスにつながっていて、エレキとアコースティックの音を自在に混ぜることができる。

 

ギブソンJ-200アコースティック

フィッシュマン・エリプスのピックアップを搭載。

 

【アンプ】

4台のフェンダー・ヴァイブロ・キングそれぞれに、2x12のエクステンション・キャビネットを使用。 ピートはほとんどの曲で1台のヴァイブロ・キングとキャビネットを3~3.5のヴォリュームで使用するが、2台目を自由に加えることができるようになっている。3、4台目は予備。

 

ピートは聴力障害のためモニターシステムで音を聴いており、ステージ上のアンプは彼の方向へは向いていない。スーパーボウルでは機材担当であるアラン・ローガンが3台目のヴァイブロ・キングにマイクをセットし、後方に向けていた。

 

エフェクター

ピート・コーニッシュの製造によるペダルボード。ディメーターのコンプレッサー、BOSS OD-1、T-Rexディレイ。

 

【マイク、モニター】

アンプ:Shure KSM313 リボンマイク

ヴォーカル:Shure Beta 58A

モニター用イヤフォン:Shure PSM 900

 

【弦】

エレキ:Ernie Ball (.011–.052)

アコースティック:D’Addario EXP 19s (.012– .056)

 

【ストラップ】

Ernie Ball

 

【ピック】

重いもの(とくにブランドの指定なし)

 

 

 

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出典:Pete Townshend: On Guitar-Smashing Regrets, Stylistic Evolution, and Becoming a Gear Aficionado