ピートとロジャーが語るザ・フー13年ぶりの最新アルバム
ザ・フーが13年ぶりにリリースする予定の最新アルバムは、現代社会の様々な問題について取り上げているらしい。
たとえば芸能界でいまだに後を絶たないセクハラや性的暴行といった問題から “男性は将来どのように変わらなくてはいけないか” というテーマや、世界的なホームレスの増加、水産業を取り巻く窮状、といったものが曲の題材になっているという。
また、ピート・タウンゼントはほかのアーティストたちがゲスト出演する可能性もあるという主旨の発言もしており、ラッパーや女性アーティストをヴォーカルとして迎えることに前向きだと言っている。
2019年3月にラジオのインタビューに答えたピートは、アルバム制作が「すでに3分の2まで進んでいる」と語った。
「とてもすごいアルバムになると思う。いくつかいい曲も入っている」
「曲は現代的なものになる。ホームレス問題、水産業、「Me Too」の後に男性がどう変わらなくてはいけないか、そういう問題を扱った歌を用意した。」
「現代の問題とともにゲストミュージシャンが来てくれる余裕を用意してある。女性ヴォーカリストかも知れないし、ラッパーかも知れないが、いずれわかるだろう」
ロジャー・ダルトリーはピートの作曲能力にあらためて驚かされたと言い、新しいサウンドに取り組むのは楽しい経験だったと語っている。
「実験をして、かつ楽しんでいるんだ」
「彼(ピート)は今でも人の耳に入り込んで何度も何度も繰り返されるような曲を作る能力がある」。
すでに60年近く音楽界で新しい曲作りをしてきたことについて、ロジャーは 「簡単ななことだ。私たちは二人とも耳が遠くて聞こえない。だからもう大音量では演奏しなくなった」
「(その代わり)しっかりと演奏するんだ。これはいいことだよ。あとは音響担当に爆音を出させればいい」
「だから正直言って、音楽的には今までで最高だと思う。ジョン(・エントウィッスル)やキース(・ムーン)の代わりになる人はいない。でもザック・スターキーがキースの次に最高のドラマーだからね」。
ザック・スターキーは、ザ・フーと1996年からずっと一緒に演奏してきた。
ロジャーは事実上耳が聞こえなくなっているため、最近では読唇術を使っていることを明らかにしている。
そして75歳になった今、もし歌い続けなければ歌声が出なくなってしまう恐れがあり、まだまだ引退などしたくない、とも語っている。
「シンガーとして、もし私の年齢で1年間歌わなかったらもう声は戻ってこない。だからまだやりたいことがある以上、私は歌い続けなくてはいけない」。
最新アルバムは2006年の『Endless Wire』以来となる。 レコーディングはブリティッシュ・グローヴ・スタジオで行われているが、ここはローリング・ストーンズが2016年にリリースしたブルースのカヴァーアルバム『Blue & Lonesome』をレコーディングしたスタジオだ。
アルバムのレコーディングとともに、ザ・フーは「Moving On!」ツアーの準備を進めており、5月7日から10月23日にかけてアメリカとカナダで30公演、さらに途中の7月6日には母国イギリスのウェンブリー・スタジアムで1公演が予定されている。
ライヴではパール・ジャムのエディ・ヴェダーやカイザー・チーフスらがスペシャルゲストとして登場する予定。
また、過去の曲をオーケストラをバックに演奏することが決まっているが、ロジャーは「だからと言ってザ・フーのパフォーマンスがフル稼働でなくなるわけじゃない」とあらためてファンを安心させた。