果たしてこれはロバート・ジョンソンなのか?未確認のまま論争が続く一枚の写真

 

 

ロバート・ジョンソンについては2枚の写真だけが確認されているだけで、そのほかの写真や映像などは残っていない。 少なくとも「確認済み」のものは2枚の写真のみ、ということである。

 

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しかしここに、ジョンソンの遺族や法医学の専門家などがロバート・ジョンソン本人であると訴える写真が存在し、現在も議論の的になっている。

 

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この写真の持ち主であるジーク・シャイン氏はこの度、『Portrait of a Phantom: The Story of Robert Johnson’s Lost Photograph』(幽霊の肖像:ロバート・ジョンソンの失われた写真の物語、Poppy Z. Brite氏と共著)という本を出版し、この写真の左側にギターを持って写っている男性がロバート・ジョンソンであることを確認するために、過去10年以上にわたって行ってきた調査内容をまとめた。

 

シャイン氏はこの写真を2005年にeBayで競り落とした。 彼はギタリストでもあったが、当時はニューヨークのマンハッタンにある楽器店「Matt Umanov Guitars」でギターの販売を行っていた。 ネットで古いギターをオークションで落とそうと探していたときに、たまたま見つけたのだという。

 

タテ10センチほどのこの写真は、コンディションのいい状態ではなかった。 しかし左側のギターを持った男性を目にしたとたん、彼がロバート・ジョンソンであると認識したという。 シャイン氏はヴィンテージ写真についても専門的に詳しく、この写真が1930年代のものであると特定した。 (ロバート・ジョンソンは1938年に亡くなっている。)

 

【ジョンソン本人であるとする根拠とは?】

シャイン氏はまた、右側の白い(モノクロ写真では白く見える)スーツを着た男性はジョニー・シャインズであると想定する。 彼もまた伝説のブルースマンで、1992年に死去している。

 

ロバート・ジョンソンについてのドキュメンタリー『Can’t You Hear the Wind Howl?』に生前のジョニー・シャインズが出演しているが、そこで彼は「ジョンソンといっしょに撮った写真があり、それは1937年にジョニー・メイ・クラウダ―という写真家に撮ってもらった」と語っている。

 

さらに、この写真を見せられたロバート・ジョンソンの息子であるクロード・ジョンソンは、この人物は自分の父親だ、と述べたという話が2008年の雑誌「Vanity Fair」に掲載されている。

 

ジョンソンの遺族が、検死などを行う法医学者のロイス・ギブソンにこの写真のコピーを送り確認を求めたこともある。 写真家アルフレッド・アイゼンスタットによるこの有名な写真の水夫を特定した実績を持つ専門家である。

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そのギブソン氏もこのギターを持った左側の人物はジョンソンに見えると答えた、という。

 

【疑問を投げかける数多くの声】

しかし、これがロバート・ジョンソンだという主張に首をかしげる人もたくさんいる。

 

シャイン氏はこの写真を、ロバート・ジョンソン本人を直接知っていたデルタ・ブルースマン二人に見せたことがあった。 この写真の取得直後にはまだ存命中だった人物たちである。

 

一人はデヴィッド・ハニーボーイ・エドワーズ(1915~2011)。 ジョンソンの友人で、共演もし、また彼が毒入りウィスキーを飲んだ夜その場に居合わせた人物だと言われている。

 

もう一人はロバート・ロックウッド・ジュニア(1915~2006)。 彼の母親は離婚後にロバート・ジョンソンとともに暮らしていたので、ジョンソンとロックウッド・ジュニアはある意味 "父子" の関係にあった。ジョンソンから直接ギターの演奏指導を受けた唯一のギタリストでもあった。

 

しかし、シャイン氏が写真をこの二人に見せても、ギターを持った左側の人物が誰であるか二人とも分からなかったらしい。

 

この写真が反転されている可能性を指摘した人もいた。

 

白いスーツを着ている男性は右手首に腕時計をはめており、またジャケットのボタンが左側に付けられていてレディース用のジャケットに見える。

 

ダークスーツを着ている(ロバート・ジョンソンとされている方の)男性も、ふつうは左胸にあるはずの胸のポケットが右胸についている(ハンカチの出ている胸ポケット)。 もしこの写真が反転されているのであれば、ジョンソンはギターを左利きで持っていたことになってしまうのだ。

 

ただしこのギターには弦が張られていない。 つまりあくまで撮影用の小道具であり、カメラマンの指示どおりに持たされた可能性もあるという。

 

【未解決のまま10年を越える】

競り落とした2005年以来、シャイン氏はこの写真について何年もの調査を続けてきたが、結局まだ結論には達していない。 結論が出ていないのに彼が今回書籍を発表したのには、理由があった。

 

以前、この写真の存在が報じられるや否や「写真を使って金儲けをしようとしている」という批判がシャイン氏に多く寄せられたという。 しかしシャイン氏は、この写真の権利はジョンソンの遺族のものであり、自分は金目当てでこの写真を使おうとしているのではない、と明言している。

 

また、80年前の写真についての調査が手詰まりになってしまったことも理由であった。 上記の通りこの写真はジョニー・メイ・クラウダ―という人によって撮影された可能性があるが、この写真家が撮ったほかの写真を見つけることが出来ないのだ。

 

「本を読んでくれた人が、もしかすると私が今までやってきた調査をも一歩先に進めてくれるかもしれない、そんな無謀な希望を持っているんです」とシャイン氏は語っている。

 

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Zeke Schein氏(https://www.vanityfair.com/culture/2008/11/johnson200811

 

Portrait of a Phantom: The Story of Robert Johnson’s Lost Photograph

 

 

 

Is This Really the Bluesman Robert Johnson? - The New York Times