エリック・クラプトンのギター⑧ マーティン・アコースティック 1939年製 000-42
エリック・クラプトンは1992年1月に出演した「MTV Unplugged」で、おもにこの1939年製 「Martin 000-42」を演奏している。
ボディはブラジリアン・ローズウッド。
サウンドホールのまわりには引っかき傷が残っており、クラプトンが頻繁にこのギターを演奏していたことを物語る。
またフィンガーボードにはいわゆる「スノーフレーク」の埋め込みがある。
1939年当時のギターには大きな真珠がそのまま埋め込まれたり、場合によってはけばけばしいセルロイドがフィンガーボードに貼り付けられることもあったらしい。
そのような時代の製品にもかかわらず、このスノーフレークの埋め込みがあるということは、あまり目立たないながらも優雅さが込められたギターであることを示す。
実際、マーティンでは1932~1943年の間では14フレットのギターはわずか114本しか製造されていない。
マーティン000-42には正面の輪郭とサウンドホールのまわりにアバロンパールの縁取りがあるが、これが000-45になると正面だけではなくサイドや裏側にもアバロンの縁取りが付けられているという違いがある。
クラプトンの「MTV Unplugged」出演までは、アコースティック・ギターといえばいわゆる「D-***」で始まるドレッドノートが最もポピュラーだった。
しかしクラプトンがこの「000」(トリプル・オー)タイプのギターを演奏したことで、この若干小型のアコースティック・ギターが再び注目を浴びるきっかけとなった。
000タイプのギターはネックが比較的短いため、チョーキングしやすいという特徴があり、もともとラグタイムやブルースのギタリストたちに愛用されていた。
クラプトンがこの「000-42」をいつ手に入れたかは不明だが、1992年の『Unplugged』ののちにも93年、95年のそれぞれのツアーでこのギターを使っていた。
2004年に行われたオークションでは791,500ドルの値が付き、アコースティック・ギターでは過去最高額を記録している。
なお以前こちらの記事で、自身のシグネイチャーモデル(「000-45」と「000-28」)について語るクラプトンについてまとめた。
※「000-42」については語っていない。
初めてのシグネイチャーモデルは1995年に出された「000-42EC」だった。
マーティングラブ・ジャパンによる「Eric Clapton Martin Signature Models History」では、それ以降のマーティンによるクラプトン・シグネイチャーモデルすべてについて見ることができて大変興味深い。
(出典)
The Guitar Collection: Eric Clapton’s 1939 Martin 000-42 « Guitar Aficionado
Legendary Guitars: Eric Clapton's Martin 000-28EC « American Songwriter