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クリーム レコード・デビュー50周年 初ライヴのリハーサルにはげむ三人を取材した半世紀前の記事を読む(+写真)

クリーム エリック・クラプトン

 

今から50年前の1966年12月9日、クリームは『Fresh Cream』をリリースし、レコード・デビューした。

 

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一方、クリームというバンド自体はすでにその年の夏に結成され、活動を開始していた。

 

最初のライヴは1966年7月29日にマンチェスターにあるライヴハウス「Twisted Wheel」で行われているが、これは非公式なライヴであったらしく、正式にはその2日後の7月31日に「Windsor Jazz & Blues Festival」に出演したのがいわゆる公式デビューとなっているようだ。

 

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(3人の個人名が記載されているだけで「Cream」というバンド名は見当たらない)

 

この7月31日の公式デビューに向けリハーサル中だったクリームを取材した記事が、当時「Melody Maker」誌に掲載された。

 

この記事が昨年復刻版として「The Guardian」紙に再掲されている。

 

www.theguardian.com

 

(以下、その和訳)

 

イギリスで最もエキサイティングなニューグループ「クリーム」には、名演奏家であるジャック・ブルースジンジャー・ベイカーエリック・クラプトンが在籍している。

 

彼らはこの週末にウィンザーで行われる「第6回 ナショナル・ジャズ・アンド・ブルース・フェスティヴァル」のリハーサルを熱心に行っているところだ。

 

国中のファンがこの3人の燃え上がるような演奏を聴く最初の機会を待ち望んでいる。

 

3人はサイドミュージシャンとしてそれぞれとてつもない名声を築き上げてきた。

 

エリックはヤードバーズやジョン・メイオールと、ジンジャーはグラハム・ボンドと、そしてジャックはグラハム・ボンドやマンフレッド・マンと、演奏してきた経歴がある。

 

何千ものファンやライバルたちからの熱い視線を受け、後に引けぬところまできた今、クリームのメンバーたちはどう思っているのだろうか?

 

「ナーバスだ、とてもナーバス」とエリック・クラプトンはいう。

 

リハーサルでこのトリオは最低限の機材だけを使っているが、教会を土台から揺るがすのに十分な音を作り出している。

(訳注:教会の内部をリハーサル会場として借りていたものと思われる)

 

「スネアとバスドラムしか使わない。だが、二つのバスドラムを含めてキット全体で7個のドラムがある」とジンジャー。

 

「ここでは6割くらいのパワーしか使っていない。だからアンプをフルで鳴らてジンジャーがタムタムを使ったら、どれくらいの音になるか想像できるだろう」とエリックが付け加えた。

 

足元にタバコの吸い殻の散らばったところで、メンバーたちは数曲を通しで練習している。

 

悪漢のような髭を生やしたジンジャーはドラムスツールを最も低い位置に設定して腰かけており、右側のトップシンバルは傾けてある。

 

茶色の編み上げブーツを履きハーモニカのハーネスをつけているジャックは、ベースギターを演奏し、エリックがギターで入り込むのを待ち受けている。

 

白のベルボトムパンツをはいているエリックは、外にたむろしている女性ファンたちに声をあげて答えるため少しストップし、それから最初の音を爆発させた。

 

エリックとジャックがハーモニーで歌い、ジンジャーはロックする。

 

エリックのギターリフに合わせ、ジャックはユニゾン・ハーモニカを吹き鳴らす。

 

すさまじい音だ。

 

それぞれ数コーラスを演奏し、バスドラムとベースのパターンを合わせるために曲を中断し、テンポを確認し、ギターとドラムが入り込む部分を確かめる。

 

ジンジャーは大きなスティックを見事に使いこなし、バンドの「コメディ・ナンバー」をやることを提案した。

 

これはいわゆるジャグ・バンド形式の曲「Take Your Finger Off It」で、古き良き歌「Ja Da」タイプのコード進行をするもの。 演奏の終わりでエリックはジャックを見て笑いながら「終わりのところでしくじったな?」というと、ジャックは「ああ、そうだよ」と軽く答えた。

(訳注:「Take Your Finger Off It」とはザ・メンフィス・ジャグ・バンドが演奏した曲。「ジャグ・バンド」とは大きな空の瓶(これを「jug」と呼ぶ)を吹いてトロンボーンのような音を立てる楽器を取り入れた楽団のこと。「Ja Da」は1918年に書かれたジャズスタンダードのヒット曲で、多くの歌手やミュージシャンが取り上げた)

 

休憩を取ることにした3人は、ジャックの運転するレンタカーに乗って近くのカフェに移動した。

 

   

 

ここで私たちはグループの音楽ポリシーについて話をした。

 

熱意がひしひしと伝わってくる。

 

みんなが同時にしゃべりたがるのだ。

 

エリック:「ブルースの古いものと新しいものの両方だ」

 

ジャック:「自分たちはこれを甘酸っぱいロックンロールと呼んでいる」

 

エリック:「ああ、それはいいタイトルになるね。このバンドでは、今まで誰もやったことがなかったことをやりたい。ピート・タウンゼントがとても興味を持ってくれて、クリームのために曲を書いてくれるかもしれないんだ」

 

ジンジャー:「今のところは、これから出演するライヴのために必要なレパートリーをそろえようとしているんだ。古いものにまで手を出していて、中には1927年のものもやっている」

 

ジャック:「演奏したいオリジナル曲がたくさんある。とても変わったものもいくつかある。それから「Long-Hair Unsquare Dude Called Jack」なんて言うのもある。ポール・ジョーンズがマンフレッド・マンで歌っていた曲だ」

(訳注:Paul Jonesはマンフレッド・マンのヴォーカリスト

 

演奏にはジャズのフィーリングも含まれるのだろうか?

 

エリック:「ジャズの要素は完全に抜けてしまったと思う。そして甘酸っぱいロックンロールを取り入れた。でも、プロモーター達は1967年はフランク・シナトラが最大の呼び物になるだろうと予想している。彼がイーリング・ブルース・クラブに初めて出演して以来のことだ」

 

ライヴの準備はどれくらい進んでいるのだろう?

 

ジャック:「準備は半分まで進んでいる。まだ3日間しかリハーサルをしていないし、やる気になればレパートリーを50曲まで増やすことも出来る。でも注意深く選びたいんだ」

 

エリック:「みんながこのバンドについて、3人のソロミュージシャンが互いにぶつかり合っているという印象を持ってしまうんだ。自分たちはそんな考え方を打ち壊して、いっしょに演奏しているグループでありたいと思っている」

 

どんなグループとしてクリームを表に出すつもりなのか?

 

エリック:「演奏しているときはステージに七面鳥がいるようにしたい」

 

もう一度言ってくれるかな?

 

「うん、演奏しているあいだはステージに七面鳥がいるようにしたいんだ。みんな七面鳥が好きだから、近くにいたらいいだろうと思う。ある種のダダイズムだよ。帽子のつばの上にカゴがのっていて中に生きたカエルが入っている、そんな帽子をかぶろうと思っていたんだ。剥製のクマがステージにあるといい。無視するけどね、見ようともしないよ」

 

(以上、記事終わり) 

 

 

最後はクラプトンの茶化したようなコメントで終わっているが、この発言の趣旨は意味不明。

 

なお、1966年7月31日当日のステージの写真といわれているものがいくつか残っている。

 

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※最後の写真はジンジャー・ベイカーが「Toad」のドラムソロの最中のものらしい(クラプトンが演奏していないのはそのため)。

 

デビューライヴにもかかわらず、すでにプロカメラマンの撮影と思われる写真がいくつも残っているという事実も、このバンドがデビュー前から注目されていた証拠であろう。

 

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