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ボブ・ディランと3人の文豪たちの関係 ランボー、ギンズバーグ、トルストイ

ボブ・ディラン

 

ディランは詩や小説を読みこなし、そのエッセンスを自分の歌詞に取り入れてきた。

 

ディランの愛読書としてとくに知られているのは、ウッディ・ガスリーの自伝『Bound for Glory(栄光への途上)』、ジャック・ケルアックの小説『On the Road(路上)』、そしてクラウセヴィッツ『戦争論』などある。

 

(ウッディ・ガスリー『Bound for Glory』の最新版) 

 

 

これらはディランの自伝『Chronicles: Volume Oneボブ・ディラン自伝)』でも取り上げられており、私たちファンにとっても馴染みがあるものだ。

 

一方、アルチュール・ランボーアレン・ギンズバーグトルストイの3名も、ディランを語る上で欠かすことができない人物たちである。

 

ここではディランが自身とこの3人とをどう関連付けてきたかを見て行きたい。

 

 

アルチュール・ランボー

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ディランはこの詩人からの影響をはっきりと認めている。

 

『Chronicles』でも、ランボーを読んだときに「ベルが鳴り響いた」と述べ、「もっと早く誰かが教えてくれればよかった」と語っている。

 

また1976年の『Blood on the Tracks』に収録されている「You’re Gonna Make Me Lonesome When You Go」には「Mine’ve been like Verlaine’s and Rimbaud」(私の(恋人との関係)はヴェルレーヌランボーのようだった)というフレーズが含まれている。

 

 

アレン・ギンズバーグ

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おそらく文学界の中でディランが最も親しかったのは、この人物であろう。

彼の名はディランのキャリアのいたるところで登場する。

 

1965年の『Bringing It All Back Home』のジャケットにはディランの吐き出すような言葉が大量に書き付けられているが、その中に以下の文がある。

 

「why allen ginsberg was not chosen t' read poetry at the inauguration boggles my mind」

アレン・ギンズバーグが大統領就任式で詩の朗読を依頼されない理由に僕は戸惑を覚える)

 

1967年公開の映画『Dont Look Back』冒頭の有名な「Subterranean Homesick Blues」の映像では、ディランが歌詞カードを次々と投げ落としているその奥のほうに、立ち話をしているギンズバーグを見ることができる。

 

1975年、ディランはギンズバーグとともにジャック・ケルアックの墓地を訪れ、また97年にギンズバーグが死去したとき、ディランは「Desolation Row」を演奏しギンズバーグにささげた。

 

また2014年に「The Bootleg Series」のVol.11としてリリースされた『The Complete Basement Tapes』には「See You Later Allen Ginsberg」という曲が収録されている。

 

 

【レフ・トルストイ

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ディランがインタビューなどでトルストイを愛読したと述べた記録は見当たらない。

 

しかし『Chronicles』にはトルストイゆかりの地を訪れたときの記述がある。

 

「彼は人生の最期、自分の著作物をすべて投げ出し、あらゆる種類の戦争を否定するため、この地を訪れた。82歳のある日、ひとりにしてほしいという書置きを家族あてに残し、彼は出て行った。雪の降る森の中を歩き進み、数日後肺炎で亡くなっているところを発見された」

 

そしてディランがこの地を訪れたときのツアーガイドが、トルストイの乗っていた自転車に乗せてくれたという記述もある。

 

また上記ギンズバーグのところでも取り上げた『Bringing It All Back Home』のジャケットには、トルストイの名前も出てくる。

 

「success mean absolutely nothing. . . i would not want t' be bach. mozart. tolstoy. joe hill. gertrude stein or james dean/they are all dead. the Great books've been written. the Great sayings have all been said/I am about t' sketch You a picture of what goes on around here some-times」

(成功はまったく無意味だ。バッハ、モーツアルトトルストイジョー・ヒルガートルード・スタインジェームズ・ディーンなどにはなりたくない。彼らはみんな死んでしまった。偉大な書物はすでに書かれている。偉大な言葉もすべて発されている。僕は今ここで起こっていることを、あなたのために描き出そうとしているのだ)

 

自分がソングライターとして目指すことと対照させてトルストイを出しているということは、その存在を強く意識していたことの表れと見てもいいだろう。

 

   

 

【読みやすいのはどれか?】 

個人の好みやいままでの読書暦にもよるので一概には言えないが、この3人については必ずしも気軽に読める作品は多くないようである。

 

ランボーギンズバーグの書く詩は決して読みやすいとはいえない。

まさにディランの書く詞のように言葉を抽象的に用いており、そこから何を読み取ることができるか判然としないものも多い。

 

トルストイの書く小説は、ドストエフスキーやショーロホフらの作品と同じく壮大な長編小説であり、文学史上名だたる名作ばかりである。

しかし『戦争と平和』などは新潮文庫で1冊600ページを超える本が全4冊で完結する、きわめて長い小説である。

 

もし取り掛かりとして適しているものを挙げるとすれば、ジャック・ケルアックの『On the Road(路上)』が良いかもしれない。

 

オン・ザ・ロード