エドワード・ヴァン・ヘイレン 6本のメインギターと2台のアンプについて語った貴重なインタビュー(2/2)

 

(「エドワード・ヴァン・ヘイレン 6本のメインギターと2台のアンプについて語った貴重なインタビュー(1/2)」から続く。)

 

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Kramerカスタムダブルネック

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『Diver Down』の「Secrets」をライヴで演奏するときにこのギターを使った。

アルバムのレコーディングではギブソンのダブルネックを弾いている。

「Panama」で使った「Kramer5150」よりも前にこのギターを持っていたから、きっと初めて手に入れたKramerギターだったんだろう。

実はこのギターを除くと、私の持っているどのKramerギターもKramer社の人が作ったものではないんだ。

2本は自分で組み立てた。

それ以外は、私の持っている「Kramerのギター」は実はみんな偽モノなんだよ。

 

ちなみに、Kramerが販売している「Baretta」は私とは何の関係もない。

Kramerがこのギターを売り出していることすら私は知らなかった。

1980年代始めのころは、みんなが私の真似をしていたんだ。

NAMMショーに行くと、ピックアップ1つ、ノブ1つという仕様のギターが至る所に置いてある。

シェクターの人たちまで「ヴァン・ヘイレン・モデル」なんて呼んでる。

地球上のギターメーカーすべてが私のギターのコピーを作ってるみたいだよ。

(注:「NAMMショー」は毎年アメリカで開催される楽器展示会。「シェクター」はアメリカの楽器メーカー)

 

 

カスタム・スタインバーガーギブソンレスポール

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「Me Wise Magic」(ベスト盤『Best Of – Volume I』に収録)のレコーディングで使ったギターだ。

ネッド・スタインバーガートランストレムを取り付けたものだ。

私はスタインバーガーといっしょにトランストレムのデザインの製作に関わっていて、彼が私の意見を取り入れた。

私は彼にできるだけシンプルなものを作るよう働きかけた。

彼は機械いじりをし過ぎてしまうタイプのエンジニアだったからね。

彼が私のために特別なギターを作ってくれたのは素晴らしいことだった。

「Summer Nights」(『5150』収録)では通常のスタインバーガー・ギターを弾いているが、演奏するのが難しいギターだった。

そのことをいろいろ文句言ったら、彼はこのギターを作ってくれたんだよ。

太っい音がするし、このギターのすべてがユニークだ。

チューナーもまったく変わっているんだ。

(注:ネッド・スタインバーガーはアメリカの楽器メーカー「スタインバーガー」社の創業者)

 

 

1958 Gibson ES-335

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「Big Fat Money」(『Balance』収録)のソロでこのギターを弾いた。

(プロデューサーの)ブルース・フェアバーンが、ホロウボディのギターを持ってないか?と聞いてきたから、このギターを使ったんだ。

ブルースは何かジャズっぽいものを弾いてくれと指示してきたから、試しに演奏して聴かせた。

弾き終わって「こんな感じかな?」って聞いてみたら、ブルースは「完璧だ。これで完成だ」と言った。

私に言わずにレコーディングしていたんだよ。

アルバムで聴けるギターはこうやってレコーディングされたんだ。

このギターはケースに戻ってしまって、それ以来触ってもいない。

 

今でも思いついてギターを買おうとすると、まわりの人が「すでにそのギターは持ってますよ」って私に教えてくれるんだ。

リッケンバッカーの12弦ギターを弾いてみたくなって、誰か持っていないか?と聞いてみた。

すると「倉庫にあるはずですよ」と言って、同じギターを3本も持ってやってきたんだ。

 

 

1963 Fender Bandmaster

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このアンプは長年使っていた。

すでにマーシャルを持っていたが、いい変圧器が手に入っていなかった。

だから「Gazzarri」などの小さなクラブで演奏するときには、マーシャルを通してバンドマスターを使うことにした。

私が育ったパサディナの小さな家では、「甲高い泣き声のような音」だといってお袋が嫌っていた音が出せなかった。

「なんでそんな甲高い泣き声を出さなきゃいけないのよ?」って言われるからね。

でも通常出力ではなく外部取り付けのスピーカーに接続すると、すごく静かになる。

これなら大音量でも思いっきり弾けるから、いつもこの方法で使っていた。

 

このアンプの本当の良さは、私がこれでたくさんの曲を書いてきたということだ。

最初の3枚のアルバムに収録されたヴァン・ヘイレンの曲すべてを、私の部屋でこのアンプを使って静かに弾きながら書いたんだ。

本当に静かだから、お袋にも聞こえなかった。

でもとてもいい音がするんだよ。

愛犬のモンティが私の隣に座っていて、音を拾うんだ。

「Women in Love」(『Van Halen II』収録)のイントロを書いていたときもモンティは横に座っていて、耳をつんと立てて聴いてるんだ。

RCAビクターの犬みたいにね。

これを使ってたくさんの曲を書いた。だからこのバンドマスターはマーシャルのアンプヘッドよりも大切なんだ。

 

   

 

 

1968 Marshall Super Lead 100 Model 1959

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昔、パサディナにあった「Berry and Grassmuck」という楽器店で働いていて、ピアノやオルガンを運んだりしていた。

ある日マーシャルのアンプヘッドがやってきた。

これはローズ・パレスというところのもので、そこはローズ・パレードのフロートを作っているコンクリートの建物だった。

注:「ローズ・パレード」はヴァン・ヘイレンの地元パサディナで行われる新年祝賀パレード。「フロート」は飾りをつけた乗り物のこと

ここではアイアン・バタフライとかジミ・ヘンドリックスなんかのコンサートが開かれていたんだ。

その後コンサートをやらなくなったので、そこで使われていたマーシャルが私の働いている店に届いたというわけだ。

私はそれまで写真でしかマーシャルを見たことがなかった。

だから私は、どんなに長く店で働いてもかまわないからこのアンプヘッドが欲しい、って店に言ったんだよ。

 

初めてプラグを差し込んだとき、爆発させてしまったんだ。

壁のコンセントに直接差し込むと「ドカーン!」っていっちゃうからね。

なんとか直したけど、音が大きすぎる。

だから部屋の中に置いて、しばらくただ眺めていたんだ。

ライヴに持っていってこのアンプヘッドを使ったら、チューブ(真空管)のガラスが溶けてしまった。

熱を持ちすぎていたんだよ。

ちゃんと動かすためには「ヴァリアック」(変圧器のメーカー)が必要だった。

「Sylvania 6CA7」の真空管でも良く合うが、「テレフンケン」の真空管がこのアンプには最適だった。

結局、ローズ・パレスで働いていた人があのアンプは家庭用アンプだって教えてくれた。

きっと誰かが兄弟で遊ぶときに使っていたんだろうね。

今でもこのアンプは持ってるよ。