ブライアン・ウィルソン 2016年4月12日@東京国際フォーラム
ブライアン・ウィルソン「『ペット・サウンズ』50周年アニバーサリー・ジャパン・ツアー」がスタートした。
初日の東京公演は東京国際フォーラム・ホールAで行われた。
【アル・ジャーディン親子の活躍】
今回の来日公演では、アル・ジャーディンの参加が目玉の一つであった。
アルのサポートは今回の公演をショーとして盛り上げるためにとても大きな役割を果たしており、「Then I Kissed Her」やアンコールの「Help Me, Rhonda」では私たちが聴きなれた声を聞かせてくれたのがうれしかった。
また『Pet Sounds』レコーディング当時、「Sloop John B」という曲をブライアンに提案したのはアルであったと言われており、そのアルがこの歌のリード・ヴォーカルを担当したことも感慨深い。
アルの息子マット・ジャーディンの活躍も欠かせないものだった。
ビーチ・ボーイズ・サウンドを特徴づけるファルセット・ヴォイスをブライアンに代わって担当したのはマットであった。
「Don’t Worry Baby」でリード・ヴォーカルを担当したのみでなく、『Pet Sounds』収録曲ではブライアンの高音部をすべてマットがフォローしており、彼なくしては「アルバム再現」は不可能であっただろう。
【ブライアンと『Pet Sounds』】
ブライアン本人のパフォーマンスについては、ある程度の衰えを感じざるを得なかった。
ブライアンと同じ1942年生まれのアル・ジャーディンが今でも歌唱力を保ち、私たち観客へ語りかける熟練のパフォーマンスを披露してくれたことを考えると、ブライアンについては残念に感じたことも事実である。
しかし、『Pet Sounds』が50年前にリリースされた際には「時代を先取りし過ぎた」内容のため期待通りの評価を得られなかったにもかかわらず、その後半世紀にわたって聴きつがれてきたということ、その収録曲のすべてが今でもライヴで再現するに値する名曲ばかりであるということ、そんな驚異的な仕事を成し遂げた本人が目の前でピアノを弾いて歌っているということを合わせて考えると、とても深い感動があった。
そして『Pet Sounds』は「聴き終わる」ことが決してないアルバムなのだろう、とあらためて感じさせる一夜であった。
セット・リストは以下の通り。
2部構成で、第1部と第2部の間に20分間ほどの休憩がはさまれた。
()内はリード・ヴォーカルがブライアン以外で、かつ明確に特定できる場合に記載した。
<第1部>
- Our Prayer
- Heroes and Villains
- California Girls
- Dance, Dance, Dance
- I Get Around
- Shut Down(アル・ジャーディン)
- Little Deuce Coupe(アル・ジャーディン)
- In My Room
- Surfer Girl
- Don’t Worry Baby(マット・ジャーディン)
- Wake the World(アル・ジャーディン)
- Add Some Music to Your Day
- Then I Kissed Her(アル・ジャーディン)
- Darlin’(ダリアン・サハナジャ)
- One Kind of Love Wild Honey(ブロンディ・チャップリン)
- Funky Pretty(ブロンディ・チャップリン)
- Sail On, Sailor(ブロンディ・チャップリン)
<第2部>
- Wouldn’t It Be Nice
- You Still Believe in Me
- That’s Not Me
- Don’t Talk (Put Your Head on My Shoulder)
- I’m Waiting for the Day
- Let’s Go Away for Awhile
- Sloop John B(アル・ジャーディン)
- God Only Knows
- I Know There’s an Answer
- Here Today
- I Just Wasn’t Made for These Times
- Pet Sounds
- Caroline, No
<アンコール>
(バンド紹介)
- Good Vibrations
- All Summer Long
- Help Me, Rhonda(アル・ジャーディン)
- Barbara Ann
- Surfin’ U.S.A.
- Fun, Fun, Fun
- Love and Mercy