ローリング・ストーンズ 2年に及ぶ「A Bigger Bang Tour」の幕開け
今から10年前の2005年8月、ザ・ローリング・ストーンズはカナダのトロントにいた。
このあと始まる「A Bigger Bang Tour」のリハーサルを行っていた。
まずは4人でトロントにある学校を借りてリハーサルを行った。
さらにトロントのピアーソン国際空港の旅客機格納庫をレンタルし、フルステージのライヴリハーサルを行っている。
8月10日、トロントにあるクラブ「フェニックス・コンサート・シアター」でストーンズが抜き打ちライヴを行うという情報が駆け巡った。
観客はわずか1000人、チケット代もわずか10ドルのみ。
このような抜き打ちライヴを小さな会場でやるのはこれが初めてではない。
ストーンズがリハーサルの仕上げとして行うもので、オーディエンスの前で演奏する勘を確認するために行う「腕試し」であった。
セットリストは以下の通り。
- Rough Justice
- Live With Me
- 19th Nervous Breakdown
- She's So Cold
- Dead Flowers
- Back of My Hand
- Ain't Too Proud to Beg
- Infamy
- Oh No, Not You Again
- Get Up, Stand Up
- Mr. Pitiful
- Tumbling Dice
- Brown Sugar
- Jumpin' Jack Flash (Encore)
8月10日の時点ではまだ最新アルバム『A Bigger Bang 』はリリースされていなかった(9月6日リリース)が、4曲がセットリストに含まれ、お披露目されている。
またザ・ウェイラーズの「Get Up, Stand Up」やオーティス・レディングの「Mr. Pitiful」といったストーンズにしては珍しいカヴァー曲も演奏している。
このライヴは2012年10月にウェブサイト「The Official Rolling Stones Archive」より『Light the Fuse』というタイトルでダウンロードのみでリリースされた。
1000人のラッキーなファンのみを招いたある意味「腕試し」ライヴであったが、ストーンズは決して手を抜くことなくプロのパフォーマンスを見せ、それはのちにライヴアルバムとしてもリリースできるほどのクオリティであったことでも分かる。
このあとストーンズはアメリカ・ボストンにわたり、8月21日から本格的なツアーを開始。「A Bigger Bang Tour」は休暇を挟みつつも2年間に及び、2007年8月のロンドン・O2アリーナまで続く。
日本での5公演(2006年3月)を含み、全147公演が行われた。
ツアー開始時ミック・ジャガーは62歳。
毎度々々のことであるが、この時もストーンズがツアーを行うのはさすがに最後であろうと多くの人がうわさをしていた。
ザ・ローリング・ストーンズ楽器大名鑑 Rolling Stones Gear
beatleg magazine 9月号 (vol.182)