キース・リチャーズが「ギブソン ES-350」について語ったコメント(和訳)

キース・リチャーズが所有する数あるギターのうち、この「ES-350」についてコメントしている動画がYouTubeにある。

 

これは「よくライヴの前に楽屋でこのギターを弾いているようですが、ステージに上がる前にこのギターを弾くのはなぜですか?」というファンからの質問に答えたもののようだ。

 

自身の自伝『ライフ』でも語っているが、「エレキ・ギターをやる前にアコースティック・ギターを知らなければいけない」というキースの言葉が、特に重みをもって感じられる。

 

 

1995年にリリースされた『ストリップト』に収録されている「The Spider And The Fly」で、このギターを演奏しているのを観ることが出来る。

 

 

 

 

(以下、和訳)

あまりにも大切すぎてステージには持っていかない。変な動きをして壊したりしたくないからだ。サイズも大きい。

 

スタジオやバックステージで使うのには最高だ。音もやわらかく、きれいだ。雨の日に野外のコンサート会場で演奏するには、ベストなギターではない(笑)。つまりダメージを与えたくないのだ。

 

エレキ・ギター自体がとても不思議な楽器だ。発明された時に最高の形になっていたのだから。その後、フィードバック機能などいくつか新しいものが開発されたが、大きな変化はしていない。

 

結局、ギブソンフェンダーに尽きる。突然、完璧な状態でどこからともなく生まれたような楽器なのだ。テレキャスターも、ストラトキャスターも、ギブソンも、すべてそうだ。改良できるところなどない。細かい機能と言う点では、たしかにいろいろ変化はあったが。

 

エレキは実に奇妙な楽器だ。エレキ・ギターを知る前に、アコースティック・ギターを知らなければいけない。確かにフィードバックやワウペダルなど、エレキには細かい芸がたくさんある。でもアコースティックにギターの要素のすべてがあるのだ。結局、アコースティックに電話を付けただけだろう(笑)。もちろん、時代と流行に合っていなければいけないが。

 

どんなに機材が発達しても、最初に考え出されたギターに勝てるものはないのだ。エレキの時代―つまり私のキャリアの時間と同じ、長い歴史だが―を経ても、やはり素晴らしい。

 

もちろんエレキはアコースティックとは違う。どのように説明すればいいかわからないが、別の感触、別の感覚を紡ぎだすのだ。不思議なことだ。

 

 

 

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