『レッド・ツェッペリンⅢ』のアルバム・ジャケットについて調べてみた

 

レッド・ツェッペリンのアルバムのうち、1970年にリリースされた『レッド・ツェッペリン』は、収録曲の半分以上がアコースティックになっていることから、異色作と言われることが多い。

 

同時に、そのアルバム・ジャケットも異色といえる。

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写真や絵がフィーチャーされているジャケットが多い中、アルバム・タイトルが前面に押し出されたデザインはこの『Ⅲ』と『コーダ』のみである。

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また『コーダ』のジャケットには単に“CODA Led Zeppelin”という文字だけが記載されている一方、『Ⅲ』には“Led Zeppelin III”という文字そのものを含め、全体にポップなデザインが施されている。

 

このデザインをしたのは誰か?

 

調べてみると「Zacron」という男の名前が出てきた。

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ザックロンは本名をリチャード・ドリューといい、1943年にイギリスのサリー州で生まれた。

 

1950年代後半にはキングストン・カレッジ・オブ・アートで美術の勉強していたが、そこではエリック・クラプトンや他のヤードバーズのメンバーたちと同窓生であったらしい。

 

ジミー・ペイジと知り合ったのもこの頃だったという。 

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その後、他のカレッジで美術の教師をしていたが、そのころに後の『Ⅲ』のジャケットに使われたグラフィック・デザインの技術を開発したといわれている。

 

1970年のリリースに先立ち、ジミー・ペイジ本人から依頼を受けたザックロンは、レッド・ツェッペリン3枚目のアルバム・ジャケットのデザインを完成させた。

 

ザックロン本人によると、ペイジからは「ファンタスティックだ」といわれたそうだ。

 

しかし、ペイジの本音は違ったようである。

 

これじゃぁ流行を追っている十代の女子向けのジャケットじゃないか、思ったよ。

でも、リリースが迫っていたから大きな変更はできなかった。

馬鹿げたものが描かれていたんだよ。

小さなとうもろこしとか、そういった下らないものがね。

 

「小さなとうもろこし」というのは表のカヴァーではなく、見開きのこのデザインのことのようだ。 

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とうもろこしが二つ。

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ザックロンは他にも独自のデザインを使って多くの作品を残しているが、もっとも有名なものはこの『Ⅲ』のジャケットである。

 

後年は、ロンドンにある小児科専門病院で治療中の子供たちのために寄付を行い、そのための活動ではロバート・プラントとも一緒に仕事をしている。

 

ザックロンは2012年1月に死去した。

 

レッド・ツェッペリンIII<2014リマスター/スタンダード・エディション>

 

レッド・ツェッペリンIII<2014リマスター/デラックス・エディション>