ボブ・ディラン「Tangled Up In Blue」に出てくる「Delacroix(ドラクロワ)」とは?
ディランの代表曲の一つである「Tangled Up In Blue」に以下の歌詞がある。
ニューオリンズまで下って行き
そこで職にありつけた
ドラクロワから沖へちょっと行ったところで
漁船に乗ってしばらく働いた
「ドラクロワ」と聞くと、普通は19世紀フランの画家ウージェーヌ・ドラクロワを思い出すだろう。
とくにこの「民衆を導く自由の女神」でよく知られている。
しかし、歌われているのはこの画家ドラクロワではない。
ここに出てくる「ドラクロワ」はルイジアナ州にある直轄地域「ドラクロワ島」のことを指す。
「島」と言っても、実際には周りを沼地に覆われた場所で、現在は内陸から直結している道路も通っている。
海に近いことから、近くのニューオリンズにあるレストランに新鮮な魚介類を流通させ、19世紀ごろから漁業地域として栄えてきた。
ディランの「Tangled Up In Blue」で、「ドラクロワ島から沖へちょっと行ったところで/漁船に乗ってしばらく働いた」と歌っているのは、まさにこの漁業地域としてのドラクロワを描いたものである。
2005年、ルイジアナ州のほかの場所と同じく、ドラクロワもハリケーン・カタリーナの被害を免れることはなかった。
主要な建物は完全に破壊されてしまったという。
しかし、2010年までには新しい建物が建ちならび、町は元に戻ったようだ。
「Tangled Up In Blue」は今年2014年4月の来日公演の際にも歌われた。