ジャニス・ジョプリン『チープ・スリル』が "ライヴ風" アルバムになった理由とは?

// ビッグ・ブラザー&ザ・ホールディング・カンパニーは1967年6月、モントレー・ポップ・フェスティヴァルに出演し、そのパフォーマンスが評判となり注目を集めていた。 同67年8月にはデビューアルバムをレコーディングし、12月に『Big Brother & the Holdi…

エドワード・ヴァン・ヘイレンが語る「フランケンシュタイン・ギター」とその飽くなき追及の哲学

ヴァン・ヘイレンを象徴するギター「フランケンシュタイン」は、包帯をぐるぐる巻きにしたような独特のペイントとともに、種々雑多な装置を持ち寄って一体の "モンスター" を作り上げたという歴史も、その名前の由来になっている。 以下はエドワード・ヴァン…

「ジョンはどこかおかしい」『サージェント・ペパーズ』のジャケットをデザインしたジャン・ハワースのインタビュー

// 『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』の有名なアルバムジャケットはイギリスのポップアーティストであるピーター・ブレイクがデザインした、というのは有名な話である。 しかし当時ブレイクの妻であったジャン・ハワースが共同で制作に関わってい…

ローリング・ストーンズを巨大ビジネスに仕立て上げた「ルパート・ローウェンスタイン」とはどんな人物?

// ルパート・ローウェンスタインは、もともとドイツ・バイエルンに先祖を持つ貴族出身で、英国ロンドンを拠点に置く投資銀行家であり、ザ・ローリング・ストーンズの財政面を再生させ、さらには巨大ビジネスへと導いた敏腕マネージャーであった。 1968年、…

ポール・マッカートニー 2018年10月31日@東京ドーム セットリスト(および演奏楽器)

// ポール・マッカートニー「Freshen Up ジャパン・ツアー」が東京ドーム公演で幕を開けた。 セットリストは以下の通り。 ()内はポールの使用楽器。「※」はホーンセクションが参加した曲。 A Hard Day’s Night(ヘフナー・ベース) Hi, Hi, Hi(ヘフナー・…

詩人アレン・ギンズバーグとポール・マッカートニーのコラボレーション「The Ballad of the Skeletons」とは?

// アメリカの詩人アレン・ギンズバーグは、私たちロックファンにとってはボブ・ディランとの関連でもっともよく耳にする名前である。 しかしギンズバーグは死の直前、ポール・マッカートニーとコラボしたことがあった。 ギンズバーグは文学や政治については…

ポール・マッカートニーを支える4人のバンドメンバーが語る「ポールとの共演」

// ポール・マッカートニーが今でも間違いなく現役であり続ける理由の一つに、超一流のミュージシャンで構成されるバンドの存在があると思う。 2000年代初頭にこのバンドが始まったばかりの頃は、ポール・ウィッケンズ(ウィックス)以外の3人は新顔であり、…

50周年を迎えるローリング・ストーンズ『ロックンロール・サーカス』の "意義" を追いかける

// ローリング・ストーンズの『ロックンロール・サーカス』はもともとBBCで放映される予定のテレビ番組として制作された。 最新アルバム『Beggars Banquet』のプロモーションもその目的のひとつだった。 前年の1967年、ストーンズは『Their Satanic Majestie…

エリック・クラプトンの "ザ・フール・ギター" の歴史を追いかける

エリック・クラプトンはこの通称「ザ・フール・ギター」を “サイケデリック・ファンタジー” と呼んでいた。 ザ・フール・ギターという名前が、このギターのデザインを担当した芸術家グループ「ザ・フール」にちなんでいるというのは有名な話である。 1967年…

ヴァン・ヘイレンのファースト・アルバム リリースの40年後にあらためて学ぶ19のこと

// ヴァン・ヘイレンは1978年2月10日、自身の名を冠したデビュー・アルバムをリリースした。 以下は、(熱心なファン以外には)あまり知られていない、このアルバムにまつわる19のエピソードである。 1. ヴァン・ヘイレンはこのアルバムをわずか3週間でレコ…

ピート・タウンゼントが自分のギターの歴史を語ったロング・インタビュー(3/3)および使用機材一覧

(「ピート・タウンゼントが自分のギターの歴史を語ったロング・インタビュー(2/3)」から続く。) 最近の若いギタリストたちで聴き応えがあったり影響力があると感じる人はいますか? たくさんいる。文字通り、何百人もいる。ギターは今や誰でも手に入れる…

ピート・タウンゼントが自分のギターの歴史を語ったロング・インタビュー(2/3)

(「ピート・タウンゼントが自分のギターの歴史を語ったロング・インタビュー(1/3)」から続く。) 1989年のツアーではアコースティックをたくさん弾いていましたが、今でもライヴでアコースティックを弾いていますか?最近はどんなものがお気に入りですか?…

ピート・タウンゼントが自分のギターの歴史を語ったロング・インタビュー(1/3)

以下は2010年3月に「Premier Guitar」に掲載されたピート・タウンゼントのインタビュー。 とても長い記事なので、3回に分けて掲載する。 まずは第一弾。最近のステージでは「エリック・クラプトン・ストラトキャスター」をメインで演奏するに至った経緯につ…

ジミ・ヘンドリックスが半年以上かけてレコーディングした「All Along the Watchtower」

// ボブ・ディランの「All Along the Watchtower」は1967年12月リリースのアルバム『John Wesley Harding』に収録されている。 ディランはその前の数年間にわたり、いわゆるロックバンドによるエレキサウンドのアルバムを作ってきた。 しかし『John Wesley H…

キース・リチャーズ「今、新作に取り掛かっている最中だ」

// 2017年12月1日に『On Air』をリリースしたザ・ローリング・ストーンズ。 このたびキース・リチャーズがこのストーンズ版「BBCセッションズ」について語ったインタビューが「In the Bend」というサイトに掲載されている。 "Keith Richards reflects on the…

果たしてこれはロバート・ジョンソンなのか?未確認のまま論争が続く一枚の写真

// ロバート・ジョンソンについては2枚の写真だけが確認されているだけで、そのほかの写真や映像などは残っていない。 少なくとも「確認済み」のものは2枚の写真のみ、ということである。 しかしここに、ジョンソンの遺族や法医学の専門家などがロバート・ジ…

ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスのドラマー、ミッチ・ミッチェルのインタビュー

// 以下は雑誌「Drum! Magazine」の1998年2月号に掲載されたドラマー、ミッチ・ミッチェルのインタビュー(「Mitch Mitchell: The Hendrix Years」)。 やはりジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス時代の話が多く取り上げられており、概して好意的でいい…

エリック・クラプトンのギター⑧ マーティン・アコースティック 1939年製 000-42

// エリック・クラプトンは1992年1月に出演した「MTV Unplugged」で、おもにこの1939年製 「Martin 000-42」を演奏している。 ボディはブラジリアン・ローズウッド。 サウンドホールのまわりには引っかき傷が残っており、クラプトンが頻繁にこのギターを演奏…

エルヴィス・プレスリー没後40年 当時のメディアとアメリカ南部の反応

// エルヴィス・プレスリーが亡くなったのは1977年8月16日。 40年たった2017年の彼の命日に、アメリカの新聞「Washington Post」がエルヴィス死去当日のアメリカ国民の反応と、一部のメディアの”あわてぶり”について記した興味深い記事をのせている(Elvis’s…

リンゴ・スターが語るドラムプレイ、フランク・ザッパ、そしてサイン(2015年のQ&A形式インタビュー)

以下は音楽雑誌「Uncut」の2015年7月号に掲載されたリンゴ・スターのQ&A(出典はリンゴ77歳の誕生日である2017年7月7日にウェブサイトに再掲載されたもの)。 意外な有名人たちからの質問も含まれており、またリンゴ独特のドラミングの秘密や「Octopus's Gar…

ビル・ワイマンが語る『Exile on Main St.』と今のローリング・ストーンズ

2010年、ビル・ワイマンは雑誌「Bass Player」のインタビューに応じ、同年に公開されたローリング・ストーンズのドキュメンタリー映画『Stones in Exile』に関する質問に答えている。 このインタビューの時点で、ビルがストーンズを脱退して18年が経過してい…

チャック・ベリーはロックンロールだけでなく「ソングライティング・ビジネス」のパイオニアでもあった

// チャック・ベリーはそのキャリアの初期に、いくつかの悔しい経験をしてきた。 その結果、音楽ビジネスを熟知することになったベリーは、最終的に1,700万ドルを超える音楽資産を含む遺産を残すにいたった。 このベリーの所有する会社「Isalee Music Publis…

ひとりで電車に乗り、過去のヒット曲をやり続けるポール・マッカートニー セットリストの選曲について語る

// 4月の来日公演の記憶も新しいポール・マッカートニー。 先日はロンドン発の電車に1人で乗っているところを目撃され、メディアで話題となった。 確かに、リラックスした様子のポールがいる。 新聞を読んでいたポールは途中で旧式のノキアの携帯を取り出し…

エルヴィス・プレスリー最後のコンサート(1977年6月26日)

// 今から40年前、エルヴィス・プレスリーはその生涯最後のライヴ・コンサートを行った。 1977年6月26日、インディアナ州インディアナポリスにある「マーケット・スクエア・アリーナ」で行われたこのコンサートには、18,000人の観客が集った。 当日のセット…

ミック・ジャガーの弟クリスが語る「兄のレコードコレクション」

こちらはミック・ジャガーと彼の弟クリス・ジャガー。 このクリスが兄のレコード・コレクションについて語った文章が、イギリスの新聞「The Daily Telegraph」(2013年6月7日付)に掲載されている。 ミック自身によるワールド・ミュージックについてのコメン…

「サージェント・ペパーには美しいものは何もない」 今では想像できなことが書いてある1967年6月のアルバム・レビュー

どんな分野でも今までなかった新しいものが登場すると、露骨に首をかしげたり、中には頭ごなしに否定してかかる人がいるが、それはビートルズに対しても例外ではなかった。 1967年6月18日、米ニューヨークタイムズ紙に「We Still Need the Beatles, but…」と…

ポール・マッカートニー 2017年4月27日@東京ドーム セットリスト(および演奏楽器)

// ポール・マッカートニー「One on One ジャパン・ツアー」東京ドーム公演初日のセットリストは以下の通り。 ()内はポールの使用楽器。 A Hard Day’s Night(ヘフナー・ベース) Junior’s Farm(ヘフナー・ベース) Can’t Buy Me Love(ヘフナー・ベース…

ポール・マッカートニー 2017年4月25日@日本武道館 セットリスト(および演奏楽器)

// ポール・マッカートニーの「One On One ジャパン・ツアー」が4月25日の日本武道館公演で開幕した。 セットリストは以下の通り。 () 内はポールの使用楽器。 A Hard Day's Night(ヘフナー・ベース) Jet(ヘフナー・ベース) Drive My Car(ヘフナー・…

エリック・クラプトン 3月25、26日のロサンゼルス公演を延期 気管支炎でドクターストップ

エリック・クラプトンは2017年3月25日、26日に開催が予定されていた米ロサンゼルスでのコンサートを急きょ9月に延期した。 気管支炎を発症し、ドクターストップがかかったのが原因。 昨年4月に5日間行われた日本武道館公演のあと、クラプトンは2016年はライ…

【追悼】 チャック・ベリーの「ジョニー・B・グッド」について学ぶ

// このブログでは、1960年代よりも昔にさかのぼってロックの歴史を扱うことはほとんどなかった。 しかし、もしチャック・ベリーがいなかったら、ふだんこのブログで取り上げているアーティストたちも存在しなかったであろうことは、本人たちがたびたび明言…