68歳のスティーヴン・タイラーが語る人生観がいかにもスティーヴンらしくてかっこいい
以下は2016年、アメリカの雑誌に掲載されたスティーヴン・タイラーのインタビュー。
記事の日付は6月28日、初のソロアルバム『We're All Somebody from Somewhere』のリリースされる2週間ほど前だ。
しかしソロデビューのことやアルバムの内容など、音楽についての具体的な話は出てこない。
御年68歳、ヴォーカリストとしての人生を何十年にもわたって歩んできた人物が、独自の「生き方」そして「死に方」を語っている興味深いものになっている。
人はみんな「とにかく先に進もう」なんて言うだろう。
でも何が言いたいんだ?
もし前進するだけだったら、自分がやってしまった間違いにどうやって気づくんだ?
人は同じことを何度も何度も繰り返してしまう運命にある。
ほとんどの人が自分がやってしまった過ちについてしっかりと分かっていない。
それは人はみんなお袋に「Yes」と言われ、親父に「No」と言われながら育ったからだ。
だから「神様、私は間違ってなんかいません。お袋が許してくれません」ってなっちゃうんだ。
人は過去に安住する必要なんかない。
でも自分がやったことをもう一度考えてみる必要はあるんだ。
今までの上手くいかなかったことすべてに感謝しなきゃいけない。
もし過去に戻って、今までで最悪の出来事を変えることができるとしたら、俺たちは今の自分たちじゃなかったはずだ。
曲をめぐってジョー・ペリーと、そしてバンドメンバーと言い争いもしたが、その結果出来上がったものを見てほしい。
「Toys in the Attic」「Dream on」「Sweet Emotion」「Walk This Way」―すべていいものばかりだ。
上手くいかなかったのは何なのか、それをハッキリさせたい。
単純に「OK、お互いに満足できないけどいいかな?よし、じゃあアイスクリームを買いに行こう」なんていうんじゃだめだ。
こんな話し合いのどのこがいいんだ?
「上手くいかない可能性のあるものはすべて上手くいかない」―こんなマーフィーの法則なんか考え出されるべきじゃなかったんだ。
これを耳にしたら最後、この考え方にとらわれてしまうだろ。
今の自分はもうラリッていない。
最新アルバムのために火だるまになっている。
恋をしているんだ。
それでいい。
もしも自分が、今までの人生で上手くいかなかったことの一つひとつに注目していたら、物事はまったく逆方向に進んでいたと思う。
古いことわざに「食べ物があなたを作る」というのがあるだろ?
でもそうじゃない。
「考え方があなたを作る」ということなんだよ。
世の中にはイライラしながら歩いている人たちがたくさんいる。
そういうのを見ていると、「自分が持っている短い時間をみじめな気分で無駄にしたいのかい?」っていう感じになるよ。
年老いた人たちの中には必ず「若い自分」っていうのがいる。
そして「何が起きたんだ?人生はすごく速く進んできたし、いまはネットなんかのせいでさらに速くなっている」と感じてしまうんだ。
そして「海水浴には行ったことはあるか?シュノーケルをしたことはあるか?ローマ教皇に会ったことはあるか?結婚は二度したか?自分が悪かったって謝ったか?犬や猫を飼ったことはあるか?」って考える。
もし誰であれ人生の終わりにこういう質問を投げかけてみて、その答えが「まだやってない」だったら、その人が自分自身の人生に満足しているとは思えないね。
ハンター・S・トンプソンが何て言ったか知っているか?
「上手に保存されている体のまま墓に滑り込みたくない」って言ったんだ。
俺は引き裂かれ、引っ掻きまわされ、傷だらけになり、徹底的に使いまわされ、完全にずたずたになって、「なんて人生だ!」って叫びながら横滑りして墓場に入り込むつもりだ。
We're All Somebody from Somewhere